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飛行機というものは前後にも左右にも細長く、二次元平面上にその全貌を描き表すことは困難です。その制約を踏まえた上で個別の機種の特徴を際立たせ、かつ消費者の購買意欲をそそるア-トに仕上げるのは、幾つもの無理難題を課せられた実機の要求仕様にも似て箱絵作者を苦悩させて来たことでしょう。そういう目で見て私はこの箱絵の素晴らしさに感動しました。この限られた四角い箱の一面に、これほどの躍動感に溢れたSu-22を描き込むとは!絵画という表現方法が持つ可能性と奥深さに圧倒される思いです。具体的には、まず構図では左舷前方から深い角度で捉えることにより、細長いが決して単調ではない同機の胴体を見事に表現しています。一方このアングルでは同機の可変後退翼を直接見せるのはムリですが、大きな境界層制御板の外側に僅かに見える外翼の反角を変えることで、この飛行機の翼形が単純でないことを的確に伝えています。さらに色彩面では光と影のグラデ-ションと機体の迷彩塗装が良く調和していて全体に破綻のない一体感があるのに加え、背景の空との明度差も計算し尽くされ、今にも飛び出して来そうな存在感の演出に成功しています。
あまりにも素晴らしい箱絵に、つい駄文を費やしてしまいました。気を取り直して部品を見て行きましょう。1/72Su-17/22の金型は大きくパンテラ系,
ビレク系, ホビクラ系の3系統存在し(2010年台にMODELSVIT系が出現した)、本キットはビレク系に属します。パンテラ系がド-サルフィンを別パ-ツにして広範なサブタイプをカバ-するコンバ-ジョン金型になっているのに対し、ビレク系は胴体の細分化は避けて、実機の型別に胴体パ-ツをすっかり入れ替える方式を採っています。すなわち箱絵写真直下の胴体が付いたランナ-が本キット:UM-3K専用。その下の翼と小物のランナ-はSu-22M4のキットと共通です。それにしても胴体が付いたランナ-の機外兵装の豊富さには驚きの一言。胴体が左右2パ-ツだけというのは作り易いと思いますが、可変翼の連動ギミック用のパ-ツを先に胴体に仕込んでおく必要があるので、この辺が上手く行くかどうか分かりません。筋彫りは凹でややダルいものの、程良い密度で私に言わせれば全く問題ありません。ビレクキットの常として表面に薄く梨地が掛かっていますが、サフを掛けてサッとひと磨きすれば梨地は解消できそうです。
部品点数 173
デカ-ルは2種類。いずれも迷彩で箱絵のソ連機とハンガリ-空軍機がセットされています。機外兵装のバリエ-ションがとても豊富なので、デカ-ルが2種類しかないのはちょっと淋しい気もしますが、デカ-ル替えキットなどもあるのかも知れません。
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