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HOBBY CRAFT 1/72 Su-22  完成日 2006年10月30日

背景
リビアは北に地中海を望むアフリカ北端、エジプトの西に位置し、国家元首カダフィ大佐に率いられたアラブ国家である。東西冷戦中、また冷戦終結後もリビアはアメリカを旗手とする西側諸国とは相容れず、独自の国際的・政治的スタンスを保ち続けている。1981年、リビアは突然地中海に面するシドラ湾を自国の内海であると主張、船舶の自由航行を禁じた。アメリカは、シドラ湾は公海であるとして空母ニミッツを含む艦隊を送り込みリビアを牽制、カダフィ大佐はこれを黙視せず、盛んに軍用機を送って米艦隊を監視した。艦隊がシドラ湾に展開して2日目の1981年8月19日、2機のSu-22リビア空軍機が艦隊に接近、上空を哨戒中のF-14Aと空中戦になった。勝負はF-14Aの完勝で、わずか3分ほどでSu-22は2機とも撃墜され、パイロットはいずれも脱出したと記録されている。この戦闘はF-14の実戦初戦果となり、同時に20数年後に退役するF-14の数少ない実戦撃墜記録の主要な一部となった。一方Su-22はF-14にあっけなく墜とされた弱い戦闘機として、不本意ながら一躍世界中に名を知られることとなった。
(以上実話です。航空雑誌の記事などを参考に独自に作文しました。)

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当時記
私が模型作りに出戻ったのが2004年、このサイトを開設してネット上で定常的に活動し始めたのが2005年ですが、その間ネット上で多くの先輩諸兄とお知り合いになることができました。その中のお一人に、ハンドルネームF/A-14さんという方がいらっしゃいます。2006年6月、そのF/A-14さんから、「Su-22かMiG-27を作ってくれませんか?」とお誘いがありました。聞けば2006年のJMC(JOYFUL MODELLERS' CONVENTION OF HASEGAWA)で、F-14ばかりをずらっと並べるクラブ展示を企画されているとのこと。Su-22とMiG-27はいずれもF-14による被撃墜記録のある機体で、敵役の機体を添えるのも一興との趣旨。F/A-14さんはソ連機ONLYの私にこういう形で企画参加の道を与えてくださったのでした。「主役を食ってこそ本物、期待してます。」・・という励ましの言葉をいただき、ならば・・と意気込んで作ったのがこの、被弾炎上,パイロット脱出のSu-22リビア空軍機です。

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キットについて
[HOBBY CRAFT 1/72 Su-22] : 今でこそ(2006年現在)Su-17/22の1/72キットはパンテラ,BILEKと2系統の金型が存在し、OEMで各社から各サブタイプが販売されていますが、1980年代日本で手に入るSu-22は皆無でした。しかし1981年に起きたシドラ湾での空戦をきっかけとして模型業界が反応、日本ではグリフォンというメーカーからSu-22Mが、そしてカナダではHOBBY CRAFTからこのSu-22とSu-22Mが発売されました。これらはいずれも不十分な資料から模型化された、いわゆる「冷戦期に西側で開発されたソ連機キット」の仲間で、豊富な資料が出た現在ではつっこみどころ満載です。さて、今回使用したホビクラのキットはSu-22(無印)です。Su-22のサブタイプは複雑で、Su-17M2の輸出型がSu-22(無印),Su-17M3の電子装備類をSPECダウンした輸出型がSu-22M,Su-17M3と同等の電子装備を持つ輸出型がSu-22M3・・・以下M4まで続きます。困ったのはシドラ湾で撃墜されたSu-22がSu-22(無印)なのかSu-22Mなのかはっきりしないこと。一般人である私が普通に接することができる資料やネット上の情報は一通りチェックしましたが、決定的な情報には出合えません。大多数の資料でSu-22とだけ書いてあるので、結局Su-22(無印)のキットを選びましたが、「Su-22」と書いてあるのはサブタイプの記述を省いた総称とも考えられるのでSu-22Mだった可能性も高いです。そう言えばグリフォンの箱絵には海上を飛ぶ2機のSu-22Mの背後で攻撃位置を占めるF-14が描かれているので、この箱絵を信じるならば撃墜されたのはSu-22Mということになります。

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下の写真は2006年のJMC東京会場で撮影したひとコマ。Su-22の周りを神レベル完成度の1/48トムたちが取り囲み(写真に入りきらない左右の机上にもうようよ)、まさに「猫の餌」状態でした。とても恥ずかしかったけれど、一応「引き立て役」としての役割は果たせたようです。

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この作品は2006年JMC合同クラブ展示「Sunset Tomcat Ball-2007」の参加作品です。
製作記があります。よろしかったらぜひご覧下さい。


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