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このBe-12は所属している模型クラブの展示会テーマ「新しいキット」の課題作として制作しました。部品点数248に上るこのキットは私にとっては大作だったけれど、8ヶ月という、私としてはかなり速いペースで完成しました。改造や追加工作などはしないで取説通りに組んだだけですが、キット内容が充実しているので、結構長い制作記になっています。

☆  ☆  ☆    コ ク ピ ッ ト    ☆  ☆  ☆

まずはセオリー通りコクピットから始めますが、単発の小型機ではないのでコクピットと言っても相当作り応えがあります。シートの数は4席。メインの操縦席に2席の他、機首窓後方に1席と胴体中央上面の観測窓下に1席あって、それぞれに床や隔壁パーツが付くからパーツ数はかなり多いです。写真・上段の2枚は操縦席と機首窓後方のパーツ1式。下段の2枚は左が上段2枚を組み立てたもの、右は胴体中央観測窓下の構造物組立て体です。この2組で一応座席が付く胴体内組立て体は全部ですが、ここまでに使ったパーツ数は32個に上り、ちょっとした小型単発機・1機分の量です。調子に乗ってここまで組んだけれど、これがきちんと胴体に収まってくれるかどうか。特に計器板と胴体の合いがポイントになりそうです。

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続いてメイン胴体の内部塗装を行います。左写真で胴体中央にポッカリと開いている大穴は脚庫開口部です。穴の周囲には長方形の囲いがあって、その内側が脚庫になります。内部塗装は脚庫部分をクレオスの37番グレー、それ以外の部分を56番の緑掛かったグレーで塗りました。操縦席と機首窓後方の内壁にはリブのモールドがあるので、リブを明るいグレーで塗った後、基部にエナメルの黒を流し入れてメリハリを付けました。

さて、機首の内壁には計器類が豊富にセットされており、大小合わせて7パーツあります。それぞれ塗装して指定のデカールを貼ったのが左写真です。取説では計器パネルの色は全て黒と指定されていますが、黒だとデカールの黒い部分が見えなくなるので、全体を黒で塗った後、デカールを貼る面だけ濃いグレーにしました。こうすると多少立体感も出せます。
 
 
 
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次に計器パーツを胴体内壁に取付けて行きます。取説では各パーツ矢印でおおよその取付け位置が指定されていますが、カッチリした取付けガイドは無いので、どこにでもどうにでも付いてしまいます。このBe-12は最新のキット(2015年現在)ながら、この辺は東欧系キットの旧作を彷彿とさせますね。そういう旧作キットが大好きな私にとって、この作業はむしろ楽しめました。次の工程は脚庫の工作の予定。流石に部品点数200超えの大物だけあって、先は長いです。

 

☆  ☆  ☆    脚 庫 の 工 作    ☆  ☆  ☆
 
Be-12は水上だけでなく地上の滑走路からも離着陸できる水陸両用型のため、しっかりした脚を備えています。その主脚は胴体に引き込まれるので胴体側面に巨大な脚庫がポッカリと口を開けていて、完成後は大きな見せ場になりそうです。ここはひとつ気を抜かず、できる限り手を入れておきたいところです。

脚庫は下写真・左のごとく、表面に複雑な浮彫り模様が入っている板状のパーツを箱組みして立体化する仕様になっています。形状は単純な直方体ではなくて、下部に羽子板の持ち手の様な突起が有る複雑な形状。これを全周歪みなく調和させて組むのは結構難しく、右写真・左側の脚庫はその突起部の壁がハの字になってしまいました。胴体に仮組みしたところ、問題なさそうなのでこのまま行きますが、模型作りって何年やってても完璧にスラスラ組めるとは限らないところに味がありますね。(私の工作技術が未熟なだけです。ハイ、申し訳ありません。)
 

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どうにか組み上がった脚庫を胴体内側から貼り付けます。合いはまあまあですがカッチリピッタリというわけではないので、仮着けした後、流し込み接着剤で補強しました。さらに、接合面全周に渡ってできている微妙なすき間を塗料で埋め、乾燥後に瞬間接着剤を流し込んでガッチリ固めました。

接着作業終了後、外側から脚庫の着き具合をチェックします。接合面全周、若干のすき間が有るのは仕方がないですが、左写真、赤矢印で示した部分は目立つので、何とかこの部分だけでもすき間を埋めます。脚を取付ければ目立たなくなる可能性もありますが、気持ちの問題として放置できません。
 

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脚庫と胴体間のすき間の大きさは、0.5mmのシャーペンの芯がちょうど収まる程度です。このすき間を埋める方法はザッと考えて、@塗料と瞬着、Aエポキシパテ、Bプラ板挟み込み などが思い浮かびますが、結局Aのエポキシパテにしました。理由は@で行くにはすき間が大き過ぎ、Bでは事後の仕上げが大掛かりになると踏んだためです。エポキシパテは固まる前におおよその形を作れるのが良い点で、上写真・左端のごとくできるだけ平坦に繋がる様にすき間を埋めました。硬化後ペーパー掛け。写真・中央のごとく一部塗膜が剥がれてしまいますがこれは仕方がありません。剥がれた部分を塗り直して最終的に写真・右端の状態に持って来ました。この右端の写真だけ見ていると、特段何事も無かった様に見えるのではないでしょうか。実は良〜く目を凝らして見ると、エポキシパテとプラの境界がうっすら見えますが、言われなきゃ気が付かないレベルなのでこれで完了とします。


☆  ☆  ☆    胴 体 の 工 作    ☆  ☆  ☆

メイン胴体を接着するためには、機首窓後方の床板と座席、コクピット、および後部観測窓下・内部構造の3つを挟み込む必要があります。どれも取付けガイドが有りますが、しっくり嵌ったのは後部観測窓下のみで他はどうも収まりが悪く、特にコクピットは胴体内壁から出ている一部の取付けガイドに明らかに干渉していました。そこで干渉しているガイド突起を削り取ったところ、どうにか胴体の左右が閉まる様になりました。しかし、ガイドの一部を削り取ったため、コクピットの位置が今一つ決まり難いので、まず全ての挟み込み部品を胴体左舷に接着し、完全に固まってから胴体右舷を接着することにしました。もちろん挟み込み部品を接着中は右舷胴体をセロテープで仮組みして部品の位置がずれない様にサポートしておきます。そうして挟み込み部品がめでたく左舷にくっついたのが下写真・上段の2枚。ここまで来る間にもシートが片方とれたり、機首内壁の計器パネルが剥がれ落ちたりして補修に追われました。

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こうして万全の準備を整えた後、いよいよ胴体同士を接着。数日寝かせて十分に固めてから、胴体間の接合線を消す作業をしました。上写真・下段の2枚が作業後の状況です。この段階では接合線は完全に消えている様に見えるけれど、サフを吹くと再び浮き上がって来ることがあるので要注意なんですよね。まあ、サフを吹くのは士の字になった後だからまだだいぶ先ですが。

続いて後部胴体を組立てます。なぜこの後部胴体がわざわざメイン胴体と別になっているのか? 作る側からすると一体でも良かった気がします。私のカンですが、金型寸法の制約で分離せざるを得なかったのではないでしょうか。

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2.そしてこの後部胴体の上面には、水平尾翼の取付け基部があります。そこで少し先回りして尾翼のパーツを組みました。下の写真は左右一体に出来ている水平尾翼とその両端に付く垂直尾翼です。

3.ここまで来て後部胴体をメイン胴体と合体させるか、それとも先に水平尾翼を付けるか迷いに迷った挙句、結局後者を選びました。理由は今・水平尾翼を付けた方が接合部の修正が楽そうだから。

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1.後部胴体には尾輪とその収納庫を挟み込みます。収納庫は鋭い三角形断面の狭い空間を2枚の隔壁パーツで仕切って作るのですが、ポイントはとにかく仮組み。事前に十分すり合わせて胴体内壁と隔壁間のすき間が最少になる様に取付けました。
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案の定、後部胴体と水平尾翼の接合部修正は結構手が掛かったので、メイン胴体と合体した後で水平尾翼を付けた場合は取り回しに苦労したことでしょう。懸念事項は水平尾翼の取付け角度で、もしこれが狂っていたら取り返しが付きません。でも水平尾翼を後部胴体に仮組みして見ると、上反角が付いて左右一体の水平尾翼と胴体間の取付けはある位置で決まってしまって、どうにも角度の調整のしようがないんです。そこでセロテープでメイン胴体を仮組みし、水平尾翼の角度がOKであることを確認して接着しました。このキット、小さなパーツは結構どこにでもどうにでも付く反面、翼と胴体など、大きな接合は調整の余地がなかってりして面白いです。

続いて後部胴体をメイン胴体に合体させます。まだ機首と尾端ビームが付いていませんが、胴体としては8割ほどの組立て率となり、飛行機の形が見えて来ました。
  
 
 
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ところで、後部胴体とメイン胴体の接合部は驚くべきことに何のガイドもないイモ付けです。接着面積も狭くて付け難いのですが、強度は行けてそうなので補強はしませんでした。合いはどうかというと、これがまた決して良いとは言えません。具体的にはメイン胴体に比べ後部胴体の方が縦長・幅狭です。従って背と腹は後部胴体が高く、左右の側面はメイン胴体が高い複合段差ができます。作例では低い部分に塗料と瞬着を塗ってパテ代わりとし、高い部分を中心に丹念にペ-パ-掛けして全周を均しました。ここの段差、結構厳しかったです。 
 
 
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この段階で長さ33.5cm。この後、機首と尾端ビームが付くと全長41.8cmになる予定です。この長さは馴染深い大戦機ではB-29にほぼ等しいので、Be-12の大きさが実感できますね。この全長は機首のレドームと尾端の細長い対潜探知ビームも加えた長さなので、実際にはB-29よりも一回り小柄な機体だけれど、B-17よりは確実に大きい訳で、いつも小柄な戦闘機ばかり作っている私にとっては前作Be-6に続く大物キットです。完成まで気力が持つかちょっと心配。

 

☆  ☆  ☆    機 首 の 工 作 と 胴 体 の 仕 上 げ    ☆  ☆  ☆

さて、次行程はとにかく胴体を完成させるべく、機首の組立てへと駒を進めます。

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機首は合計9個の部品を組立てて作る仕様になっています。その内訳けは透明パーツが4個、エッチングパーツが2個、そして普通のプラパーツが3個です。この構成から見て一筋縄では行かない予感がしていましたが、案の定、難航しました。左写真は透明パーツ、エッチングパーツ、プラパーツをそれぞれ組んだ状態。この段階で透明パーツとプラパーツの各接合線はあらかじめ消しておきます。エッチングパーツは「透明パーツ組立て体」内部に収まりますが、そこまでは上手く行きました。

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問題は胴体本体と「透明パーツ組立て体」の接合すき間、および同組立て体と先端コーンの接合すき間です。上写真4枚は組立ての様子を時系列で追ったもので、写真では各接合すき間はそれほど酷く見えませんが、実際には結構なすき間と段差も出来て修正に手間取りました。初めのうちは窓が傷付かない様に恐る恐るペーパー掛けしていたのですが、それではラチが開かないことが分かったので気にせずガリガリ削り、後から磨き戻して透明度を回復しています。とりあえず窓以外をグレーで塗って様子を見たのが下段右の写真。この段階でまだうっすらと接合線が見えているのが分かると思います。ここで完璧を目指すと何か失敗しそうな予感がするので、この後は士の字にして全体にサフ掛けしてからこの部分の微調整を行う予定です。

機首の工作が一段落したので、引き続きキャノピーの取付けに進みます。機首の工作が一筋縄では行かなかったのと同様に、このキャノピー取付けも予想以上に難航しました。左右胴体さえ付けてしまえば後はスラスラ行くかと思ったのだけれど、その考えは甘かった様です。まずキャノピーですが、右上図のごとく、3つの透明部品を組み立てなければなりません。透明部品同士の接着と継ぎ目消しは難しくて気を遣いました。この部品、一体で成形出来なかったのでしょうか。この程度の深さの立体なら一発で抜けると思うけれど、そうすると側面の窓枠の凹モールドが入れられないからダメなんですかね。・・などと心で文句を言いながら、何とか接着して継ぎ目を消して、窓以外の部分をグレーで塗ったのが右下の写真です。こうして見ると最終的に透明で残る部分は案外狭いです。このキットの作り始めのころは気合いを入れてコクピットを作ったけれど、完成後はあまり見えなくなることが判明。ちょっと残念な気分になりました。まあ、どんなキットも似たようなものですけどね。

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左写真はキャノピ-取付け前の状態。広々と開口していて中が良く見えますが、これが見納めです。次にキャノピ-を仮組みして見ると、計器板と干渉していて閉まりません。慌てて計器板上端を削って低く下げ、何とか閉まる様に直しました。意を決してキャノピ-を接着したのが左下の写真。前部分、胴体との境界にすき間が開いてますね。あと、写真では分かり難いですが、側面と後部にもかなりの段差があります。この合いの悪さも組み立て式キャノピ-による弊害かも知れません。しかし、こういう修正工作こそプラモ作りの醍醐味なので、私にとっては重要なお楽しみポイントです。

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さてその修正工作、前部分のすき間はわざと溶剤を飛ばしてドロドロにしたグレーの塗料で埋めました。私はこのドロドロ塗料をパテ代わりに良く使います。次に側面は胴体の方が0.5mm程度幅広で段ができたので、先に彫刻刀で胴体側の余剰部分をそぎ取り、その後ドロドロ塗料で埋め戻して乾燥後平滑化しました。一番の大仕事になったのは後部で、ここはキャノピーの方が胴体より0.3mmほど高く、ドロドロ塗料だけでは埋めきれないと読んでエポキシパテを盛り付けました。こうして前方・側面(x2)・後方と、全周の修正作業が終わったのが上写真右です。まずまず上手く行きました。このキットは最新キットということで、ここでこれほど手間取るとは予想していなかっただけに、思わぬ修正工作の楽しみが味わえて良かったです。このキットの完成品を見る機会があったら、透明部品と胴体の接合の仕上がり具合が一つの観察ポイントになるでしょう。
 
 
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透明パーツの取付けとその接合部の修正が完了すると、もう胴体ではそれほど大きな工作は残っていないので、いよいよ尾端のビームを取付けます。これで機首から尾端まで胴体全てつながって、全長が完成時と同じ41.8cmに達しました。ここまで長いとけっこう取り回しに苦労します。透明パーツの接合部修正の時にも水平尾翼を拡大鏡の支柱にカチカチ引っ掛けていたから、もし尾端ビームを先に付けていたら多分折っていたことでしょう。そして悲しいことに、尾輪支柱の先端がいつの間にか折れていました(左上写真矢印部)。これは透明パーツの接合部修正に熱中していたときに、どこかに引っ掛けて折ったらしいのですが、気が付いた時は大分時間が経った後だった様で、折れた破片はどこかに紛れてしまってとうとう見つかりませんでした。ここは行く行く自作しなければなりません。細かい作業になるため、上手くリカバリーできるか心配です。
 
 
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続いて胴体側面に付く小さな空気取り入れ口を5個取付けて接合部を修正。さらに機首右舷のやや大きい涙滴型突起と、レドーム上部の三角形のアンテナを取付けました。このアンテナはキットでは小さく細い3本の棒なんですが、実機写真を見ると三角形の板状なので、キットのパーツは使わず、プラ板で自作しました。ちなみにこの三角アンテナは尾端ビームの付け根にも有り、同様に自作して取付けてあります。
 
 
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と言う訳で胴体の工作が一応完了したところで、全体が分かる写真を貼っておきます。これで工作としては全体の半分位来たのでしょうか。でも主翼は全くの手付かずだし、エンジン、プロペラ、それに主脚などの小物もやたら部品点数が多いので、この先まだまだ油断はできません。主翼と胴体の合いなんてどうなんでしょう?せっかくここまで来たのだから、あまり大きく後戻りする様な事が起きない様に祈るばかりです。

 

☆  ☆  ☆    主 翼 の 工 作    ☆  ☆  ☆

胴体の組立てを終え、一区切り付きましたが、ここで気を抜くとズルズルと放置してしまいそうなので、逆にアクセルを踏み込んで制作のペースを上げて行きます。今回からは主翼の部に入り、まずはエンジンおよびエンジンナセルの工作から始めます。

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エンジンのパ-ツは至ってシンプルで、排気口側の蓋と細長いダクトだけ。これらのパ-ツで完成後に外から見えるのは主にダクトの内側です。ダクトは左右2分割のため全長に渡り接合線ができまして、外側の線を消すのは簡単だけれど、内側は一苦労。しかしここはひとつ頑張ってきっちりと内側の接合線を消さないと、完成後の見栄えに大きく影響します。さらに、ダクトを覗き込んで角度を調整すると、排気口側の蓋もチラッと見えるので、整流コ-ン(?)を明るい銀で塗って目立たせました。
 
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エンジンナセルは本体左右分割+先端円筒部の3分割です。基本的に合いは良いのですが、主翼側のナセル腹部が大きく開いている構造なので、接着には気を遣いました。接合線を消し、部分的に消えた筋彫りを彫り直した後、全体にグレーのスプレーを掛けて様子を見ています。右の写真はダクトをナセルに収めた状態。問題なく収まりますが、ダクト端部とナセル内壁に接合線が出来ます。ここは主翼パーツとの間にも接合線が出るはずなので、主翼に取付けた後で一括して修正する予定です。しかしこのエンジンナセル、結構大きくて1/72の単発大戦機・1機分くらいあります。それを2個、一気に作るほどの元気がないと、このキットは進みません。

エンジンが出来たら次はいよいよ主翼パーツを切り出します。大きなパーツなのでこれが無くなるとランナーがグッと空きます。すでに胴体関連のパーツは使用済みなので、残りのパーツは箱の大きさに比べるとかなりスカスカになって来ました。しかしまだまだ脚周りを中心にプロペラとかその他細かいパーツがたくさんあって、部品点数的にはまだ半分位残っていそうです。
 
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主翼の工作、上下分割で基本的な合いは特に問題ありませんが、表面の筋彫りがかなり浅くて、接合部をペーパー掛けすると消えてしまいます。そこで増し彫りすることにしました。 

けがき針やエングレ-バ-で元の筋彫りをなぞって深くするのですが、不器用な私はあちこち脱線して事後修正に追われました。
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筋彫りの修正が一段落付いたらエンジンナセルを取付けます。これも基本的な合いは良いものの、微小なすき間や段差はあるので、塗料やパテで埋めて行きます。特に修正が必要なのは排気口周りで、ここは外側にもダクトの内側にも接合段差ができるため、エポキシパテを盛り付けて乾燥後平準化しました。この様にこのキットはあちこちで修正工作を楽しむことができます。ロシア・東欧系の旧作キットを作ることが多い私は、修正工作こそ模型の楽しみの中心と思っているので、このBe-12は作っていてとても楽しいです。  

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主翼は胴体ほど細々した部品は付きませんが、それでも多少は取付けるパーツがあります。まずはエンジンナセル基部の空気取り入れ口。2つ上の写真、左が取り付け前、右が取り付け後です。ここは主翼本体とエンジンナセルおよび空気取り入れ口のパーツ3点を融合させるため、結構複雑で工作に気を遣いました。これが済んだら上面中央部のパーツを介して左右を接着し、1枚の主翼に合体させます。

続く付加パーツは左翼だけに付く板状の出っ張りと、ライト近くに付く薄くて小さい板が左右合計4枚。この薄板はエッチングパーツです。それぞれ接着し、取付け基部にできるすき間を埋めて取付け完了。

最後はフロート。まずは左右のフロートを個別に組立てますが、接合部を消すためにペーパー掛けすると筋彫りが消えて行くので、主翼同様増し彫りして仕上げた後、それぞれ主翼に取り付けて、基部のすき間を埋めました。

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上の写真は完成した主翼の全景です。結構大きな角度で「く」の字に曲がったガル翼。工夫されたパーツ割りのおかげでガル翼の角度はバッチリ決まります。それは良いのですが、この方式だと胴体に取付ける時の角度の微調整ができません。もちろん仮組みを繰り返して様子を見ながら進めているのだけれど、やはり主翼と胴体を接着するまでは安心できません。

 

☆  ☆  ☆    士 の 字 化 工 作    ☆  ☆  ☆

下の写真はこれまでの作業の集大成です。士の字にする前の記念と思って撮影しました。写真を見て分かる通り、胴体と主翼の取付けは、胴体上部にぽっかり開いた取付け基部に、左右一体となった主翼を乗せるのですが、角度を調整する余地がほとんど無いので、左右対称に取付けられるかちょっと不安です。また、接着が面でなく全て線なので、強度的にも補強が要りそうです。ここはひとまず通常の接着剤で接着した後、問題なければ接合部に瞬間接着剤を流し込んでガッチリ固める作戦で行こうと思います。

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いよいよ接着します。平らな面の出るテーブルにタオルを敷いて胴体を直立させ、接着した主翼の両翼端が同じ高さになる様に塗料瓶と板で調整しました。双垂直尾翼にはフロッピーディスクのケースを当てて垂直を出しています。この状態で前と後ろから散々眺めまわし、胴体と主翼の角度がおかしくないかチェックします。案の定、胴体と主翼の取付け角度はパーツ相互の嵌め合いで決まってしまって調整の余地は無いに等しいですが、キットが良く出来てると言うことなんでしょう、胴体と主翼はばっちりバランス良く取付けることができました。
 

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2つ上の写真の状態で半日ほど乾燥させた後、接合部に瞬間接着剤を流し込んで強引に固めました。ここまで来ると一安心です。その後、接合部にペーパー掛けして段差を均したところで基本的な士の字化工作が完了しました。ここから先は胴体下部に付く波消し板など、塗装前に付けてしまった方が良い小物を取付けるつもりです。従ってこの段階ではまだ暫定士の字なんですが、Be-12の独特なフォルムはもう完全に出現しています。なんだか嬉しくなって、しばし童心に返り、機体を手に持ってブーンと飛ばす真似をして遊んでしまいました。
 

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さて、「暫定士の字」から「真・士の字」への作業内容、具体的には @機首下方の波消し板、Aコクピット周辺のアンテナ類、B主翼前縁のピトー管、それに C水平尾翼アクチュエ-タ-の取り付けです。左の写真は@とAを取り付けた状態。@は大小合わせ片側5枚、左右で10枚あってなかなかの作業量でした。Aのアンテナ類は塗装後に付けようか迷いましたが、綺麗に付ける自信が無かったので、修正可能な今のうちに付けることにしました。結果は上手く付けられて無修正で済んだけれど、塗装後だと緊張して失敗したかも知れません。

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問題だったのはピト-管です。これは主翼の左右に1本ずつ合計2本付くのですが、そのうちの1本がキット購入時点ですでに折れていました。ここは躊躇なく金属製に置き換えます。ピト-管は先細りの針状になっているため、黄銅線にヤスリ掛けして形を整えました。この作業は大変だったけど、まずまず良い形を出せたので自己満足しています。最後は水平尾翼のアクチュエ-タ- で、これはエッチングパ-ツが付属しています。取り付けは瞬間接着剤による一発勝負となり、とても緊張しました。やはり微妙な位置ズレや角度のブレが出たけれど、どうにか許せる範囲に収まったので気が済みました。この辺はある程度妥協が必要です。

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そういう訳で「真・士の字」に到達しました。本体はこの後、塗装工程に入りますが、私の制作スタイルの恒として、本体塗装の前に小物を片付けます。このキットの場合、小物とは脚とプロペラおよび若干のセンサー類です。その内、主脚はやたら複雑で部品点数も多く手を焼きそう。プロペラも1基で6パーツあるので侮れません。それに破損した尾輪支柱の再生など、まだまだやることは多いです。当時この段階は夏の盛りだったので、湿度が高い夏の間は大面積の本体塗装には適さないから、先に小物を片付けるにはちょうど良いタイミングでした。


☆  ☆  ☆    小  物    ☆  ☆  ☆

さて、小物類の筆頭は破損した尾輪支柱の再生から始めます。破損部品は負の進捗度だから、先にこれを片付けないとスタートラインに着けない感じがして落ち着きません。

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プラ板とエポキシパテで
支柱全体を再生

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始めは欠けた先端だけ継ぎ足そうかと思ったのですが、それだと強度が出ず、根本的な解決にならないと判断して、思い切って支柱付け根で切断しました。切り取った残骸をお手本にしてプラ板とエポキシパテでおおまかな形を作ります。

その後は余分なパテをカッターで削り、ペーパー掛けして段々と形を整えて行きます。形ができたら0.5mm黄銅棒で車軸を作り、支柱先端左右の軸受け部に穴を開けて黄銅棒を貫通させました。こうすることで強度が出るし、タイヤも綺麗に取付けることができます。結果として右写真に示す通り、一見何事もなかったかの様に再生することができました。

続いて主脚に掛かります。この機体の主脚は外から良く見えるので、ある意味作品の目玉になります。

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主脚は複雑で部品点数が多い


Be-12は飛行艇ながら、しっかりした降着装置を持つ水陸両用機なので、立派な主脚を備えています。主翼は胴体上部に付くガル翼だから脚は当然胴体から出ることになり、何だかとっても複雑な造りです。上写真・左側が主脚1基分のパーツ。この状態ですでにある程度組み立ててあり、部品点数は17ありました。これが2基あるので主脚は全部で34パーツに上り、これは1/72単発大戦機1機分に匹敵する量です。いつもそんな小型機ばかり作っている私にとって、この主脚は作り応えがありました。写真では一見綺麗に出来ている様に見えるけれど、現物は細部に接着剤がはみ出していてヘロヘロです。最終完成時には見え難くなる場所なので妥協しますが、今回もつくづく自分の不器用さを再認識しました。次はプロペラですがどうなることやら・・。

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部品相互の合いはピッタリなので、
塗装が厚いと合いがきつい。
 

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プロペラは1基が5パーツから成っています。4枚あるプロペラブレードはカヌーの櫂の様に直線状に連なった2枚を十字に組み合せる仕様。これにスピナと固定用部品および基部の円筒を合わせます。部品相互の合いはピッタリで、接着剤が要らないほど。従って塗装が厚いと嵌め合いがきつくなり、若干浮きが出ます。作例ではそれに気付いた時はもう手遅れで、スピナと基部円筒間にややすき間が出来てしまいました。接着剤は使いませんでしたが無理やり押し込んだのでもう直せません。
 
その他の小物は尾輪収納庫の扉と、水上で使う舵。あと小さいT字型のものは電波高度計で、水平尾翼に付きます。最後に赤く塗った小さな部品は機首下面の窓の直後に付くもので、非常時に外から操作するとどこかの窓が開くとか、そういう類のものだと思います。

さて、これで小物作りは一通り終わりました。季節も夏が過ぎ、爽やかな秋の陽気に移り変わってきたので、いよいよ本体の本格的な塗装に駒を進めます。

 

☆  ☆  ☆    塗  装    ☆  ☆  ☆

本体塗装、まずはマスキングから。透明部分はキットにシールが付属しているのでそれを使います。小窓が多い機体なのでシールが付いていたのは助かりました。窓以外でマスキングが必要なのは、主脚庫、尾輪庫、排気口、および後部胴体上面の観測窓です。特に主脚庫と尾輪庫は大きく開口しているため、詰め物でのマスキングはムリと判断して、穴より一回り大きく外周から覆い被せる形でマスキングテープを貼りました。テープの境界は穴の直近の筋彫りに合わせています。当然テープの下は塗料が掛かりませんが、この部分はパネル毎の塗装の要領で、後から筆塗りで対応します。

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マスキングが終わったら「持ち手」を取付けます。いつも作っている単発ジェット機だったら尾部の排気口に棒を突っ込めば済みますが、Be-12は双発で図体もでかいので、「持ち手」をどうするか少し悩みました。結局、右写真のごとくアルミパイプを2本使ってY字形に組み、エンジンナセルに前から差し込んで持ち上げました。これで機体全面に万遍なく塗料を吹き付けることができます。当然ながら、適度な径のアルミパイプが家にころがっている訳もなく、エンジンナセルに開いている穴径を計ってわざわざ買って来ました。

「持ち手」の調達に若干手間取った関係で、1回目のサフを吹いてから次の作業まで、1週間ほど時間が空きました。そのためサフが十分に乾燥したせいか、細部の点検であちこちにアラが見つかました。アラの部分には溶きパテにサ-フェ-サ-を混ぜた塗料を筆塗りして、乾燥後ペ-パ-掛けし、各個修正しました。そして2回目のサフ掛けを敢行。良く見るとまだうっすらとアラが見える箇所もありますが、これ以上サフを掛けると厚ぼったくなるし、さらにこの上に機体色を掛けて行くので最終的にアラは何とかなると判断し、サフ掛け終了とします。

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ここからの作業は難航しました。サフを掛けてから本塗装が終わるまで丸1ヶ月掛かっています。やはりBe-12は私がいつも作っている小型機とは一味も二味も違う大物です。

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このキットの全長は40cmを超えます。加えて形が複雑でパネルラインも多く、新しいキットだけにディティ-ルが細かくて塗装もそれ相応に手を入れていたところ、上の写真まで漕ぎ着けるのにえらい時間が掛かってしまいました。サフ掛け時に胴体前半上面に全部で5本あったアンテナが一番後ろの1本を残してあとは全てなくなっていることにお気付きでしょうか。そうです、細部塗装で機体を取回しているうちに1本、また1本と引っ掛けて折ってしまったんです。幸い根本からきれいに折れたので、この経験を活かし、折れたアンテナは今度は一番最後に取付けることにします。ようやく基本塗装は終わったけれど、この先デカ-ル貼りや墨入れ、ウェザリングなどまだまだ先は長いですから。
 
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次に、墨入れやウェザリングをする前に、先にデカ-ルを貼って軽く1回目のトップコ-トを掛けました。流石新しいキットだけあって、デカ-ルは 発色、印刷精度、フィルムの質 のいずれも高レベルです。ただ、自分のテクニックの問題で一部に細かい気泡が入ってしまったので、その部分だけ針でつついて気泡を抜き、上からマ-クセッタ-を染み込ませて養生しています。喫水線はデカ-ルでもセットされていますが、長くて細い線状のデカ-ルの余白を切り取れなかったので自分で塗装しました。少し厚塗りになってしまったけれど、まあまあ上手く行ったので一安心です。私にとっては大物のBe-12もようやくデカ-ル貼りまで終わりました。この後、墨入れとウェザリングをこなせば完成が見えて来ますが、それに失敗したら今までの苦労が水の泡になるかと思うとちょっと怖いです。 
 
 
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失敗が怖くてしばらく躊躇していたけれど、ある日、意を決して墨入れを敢行しました。結果は・・うう〜ん、大成功とは言えませんね。油絵具の黒をペトロールという溶剤で溶いて十分薄墨にしたつもりなんですが、機体色が明るいためか、黒い線がはっきり入って劇画調になってしまいました。特にエンジンナセルなどは印刷された紙模型を組み立てた様な出来で、今一実感が足りません。これでも墨入れ後にペトロールを含ませた綿棒で濃すぎる線を薄くしたり、線の周囲をぼかしたりしているんですが、私の腕ではこれが限界です。まあ、明らかに失敗というわけではないのでこれで妥協ですね。あと、ウェザリングはタミヤのウェザリングマスターを使って垂直尾翼の付け根辺りを黒くススけさせました。この部分はターボブロップの排気が掛かるので、実機でもけっこうススけています。

最後にもう一回トップコートを掛けて、乾燥後に透明部分のマスキングシールを剥がしました。このマスキングは塗料の漏れもなく、エッヂがきれいに出て良かったです。流石キットに付属しているマスキングシールだけのことはあります。

 

☆  ☆  ☆    完  成    ☆  ☆  ☆

着工から苦節8ヶ月、遂に完成の日を迎えました。最終工程は小物の取付けです。

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まずは目玉となる主脚の取り付け。ガイドはあるけれど回転してしまうので、完全に固まるまで目が離せません。また、脚庫とメインギアを繋ぐ引き込みアクチュエーターが片側2パーツあり、これとの合わせも調整する必要があって結構手間取りました。尾輪は扉と本体間の「のりしろ」がほとんどないので通常の接着剤だけでは足りず、瞬着を併用しています。あとはコクピット周辺のアンテナですが、これは一度折れた部品なので本体側に痕跡が残っていて、それを頼りに付け戻しました。最後の最後はコクピット前面窓のワイパーです。とても小さいエッチングパーツで、瞬着でチョン付けするしか手がなく、一発勝負なので緊張したけれど、何とか取り付けました。

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完成してみると大型キットだけに、実に貫禄があります。今回は部品総数248という私にとっては未知の大物にチャレンジし、色々手こずりながらも完成に漕ぎ着けたのは何よりでした。また、新しいキットを発売直後に購入してすぐに作ったのは初体験で、最新キットに触れることができて良い勉強になりました。いつも古いキットばかり作っている私だけれど、新しいキットも作れることが分かって一安心しています。最後の墨入れで自分のイメージとやや違ってしまったのは残念ですが、大物を仕上げた満足感は高いものがあります。

 
本人満足度 ★★★★


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