TOPへ戻る La-176 制作記 BOXアート
展示場へ戻る
展示へ戻る SKARABEY 1/72

BOXアートの画像をクリックすると、「私が出会ったキットたち」の、それぞれのページへジャンプします。パーツ画像やデカールはそちらをご参照下さい。 このページに戻るにはブラウザの戻るボタンを使って下さい。

数年間プロペラ機ばかり完成していた時期があり、2010年秋に「銀色のジェット機」が無性に作りたくなって制作しました。レトロなキットを噛みしめる様に作ってます。

☆  ☆  ☆    胴体の工作    ☆  ☆  ☆

mk_la176_sk72_01
 
まずは胴体に鋏み込む部品から手を付けました。機首内整流板,前脚収納庫,コクピット,計器板それに排気ノズルです。このうち計器板と排気ノズルは後からでも付けられることが判明。問題は整流板,前脚庫,コクピットですが、これらは胴体との取り付けガイドが全く無いだけでなく、胴体内壁に密着させると偏りが発生するため、空中に浮くような位置で固定しなければなりません。あれこれ考えた末、エポキシパテを枕にして各部品を座らせて行くことにしました。

mk_la176_sk72_02
 
mk_la176_sk72_03

まず最初に前脚庫を取り付けます。これは胴体に角窓が切ってあるので位置は一番決まり易いですが、上下位置や回転ズレなどいくらでも動くので注意が必要です。次は整流板ですが、機首にエポパテをたっぷり仕込んでおいて、これに中蓋をかぶせる要領で置きます。X,Y,Zの3軸と各軸に沿った回転の6次元全てフリーですので反対側の胴体も仮組みして調整します。最後はコクピット。これは前脚庫の上に載る形になりますが、前後位置と左右の回転に神経を使いました。エポパテ中には直径2mmの鉛球を4個埋め込んで重りにしています。またコクピット後方は筒抜けなのでプラ板を丸く切って貼り付けました。・・ああ楽しい。

胴体を接着すると、手を入れたいところが山ほど出てきます。まず空気取り入れ口の中がすき間だらけだし、コクピット背面の線が左右でつながってない、前脚庫周辺がガタガタなどなど。あと排気口はキットのパーツには後端にリップが付いていましたが、芯ずれしていたので躊躇なく切り飛ばしました。従って写真右端の通り、胴体と段ができたので後でパテ埋めします。

mk_la176_sk72_04

mk_la176_sk72_05

mk_la176_sk72_06

mk_la176_sk72_07

mk_la176_sk72_08

mk_la176_sk72_09

胴体の修正工作は手応え十分で、作業に没頭しているとあっと言う間に時間が過ぎて行きます。プラモ作りにこれだけ熱中するのは久しぶり。スカラベには感謝しなくてはいけませんね。

mk_la176_sk72_10

作業が一段落したところで全体を眺めて見ると、脚収納庫の切り欠きが左右で2mmほどずれていました。72倍すると約15cm差があることになりますが、ちょっと修正し切れません。そこで、「実機がこうなっているんだ!」と思うことにしました。謎に包まれたソ連の試作機ですから、きっと何かの都合で脚庫の形状が左右で違うんですよ。きっと、きっと・・・。

コクピットの工作はまず計器板とシートを個別に塗装しておいてそれぞれ胴体に接着。この様に胴体の組み立てが済んだ後から取り付け可能な部品は左右のズレや傾きの調整が容易なので助かります。キット附属のデカールに計器とシートベルトが入っていたので貼り付けましたが、どちらも問題なく貼れたので、デカールの質は案外良い様です。

mk_la176_sk72_11

mk_la176_sk72_12

mk_la176_sk72_13

この段階でキャノピーを接着します。いつもは士の字になってからキャノピーを付けますが、このキットはキャノピー後方の胴体の盛り上がりに段差があるので、先にキャノピーを付けないと段差修正の目標面が定まりません。

mk_la176_sk72_14

mk_la176_sk72_15

修正にはエポキシパテを使いました。このキットではエポパテが大活躍してくれます。キャノピーはツルツルで窓枠らしきものは一切ないのでそれらしく塗り分けます。始めは自信がなかったけれど、やれば何とかなるもんですね。


☆  ☆  ☆    士の字化工作    ☆  ☆  ☆

士の字化工作、まずは主翼を取付けて十の字にします。主翼取付け直後の写真は撮っていませんが、そのとき広がっていたすき間や段差は皆様のご想像にお任せしたいと思います。キャノピーに掛けてあるマスキングは透明部分を手荒いペーパー掛けの「とばっちり」から守るバリアーです。翼パーツは上下分割のない1枚ものですが境界層制御板は別パーツになっており、取り付けると主翼との間に深い溝が残るので、瞬着と溶きパテでねちねちと埋めます。

mk_la176_sk72_16
 
mk_la176_sk72_17

mk_la176_sk72_18
 
懸命の作業の結果、どうにかこうにか翼と胴体が面一になりました。(↑) その代償として、翼付け根から胴体背面にかけての凸モールドはほぼ完全に消失。 ここは後で、「マスキングテープ塗膜段差法」でパネルラインを再現する計画なのですが、消えたラインは単純な直線ではないので後半の難所になりそうです。

水平尾翼の取り付け。左の引いた写真でも取付け部がぱっくり割れているのが判ると思います。左下がその拡大写真です。

mk_la176_sk72_19
 
mk_la176_sk72_20

水平尾翼付け根はすき間にたっぷりと瞬着を流し込み、さらに溶きパテを盛って乾燥後ペーパー掛け。周辺の凸モールドは当然ながら昇天して行きます。La-176特有の垂直尾翼のピトー管ですが、キットのパーツは切れが悪いので金属に置き換えました。

・・で、どうにかこうにか士の字に到達しました。キャノピーもきちんとマスキングして、次からはいよいよ本格的な塗装に入ります。 形になってみると La-176 ってとっても原理的な形状でいかにも試作機という感じですね。


 
mk_la176_sk72_21

☆  ☆  ☆    小 物    ☆  ☆  ☆

本体は士の字に到達したため、Myルールにのっとって小物に取り組みます。

全て脚小物ですが、キットのままだと脚柱と胴体間のガイドが乏しく、取り付け強度も不安だったので、脚柱に黄銅線を埋め込み、胴体側には差し込み穴を開けました。書いてしまうと簡単ですが、各脚は取り付け角度が微妙でなかなか思う様に決まりません。適度にバランスした所で妥協しておきます。


また主脚カバーは表面が荒れています。最終完成後に意外と目立つ部分なのでこの段階で丁寧に修正しておきましょう。

 
mk_la176_sk72_22

☆  ☆  ☆    基本塗装    ☆  ☆  ☆

mk_la176_sk72_23

mk_la176_sk72_24
 
基本塗装、まずは排気口にピッタリ入る丸棒を探して来て La-176 の串揚げを作ります。ぐらつく様なら丸棒にセロテープを巻いて調整しましょう。胴体の接着が弱いと棒を押し込んだときにバキっと割れて大泣きしますが、今回はそれを見越してガッチリ接着しておいたので大丈夫でした。

いつも使っているサフは缶スプレーの1000番ライトグレーです。
主翼付け根の下側、人間で言えば脇の下にあたる部分にスプレーが掛かり難いので均一に掛かる様注意します。

さてこのキット、凸モ-ルドが太く高いのでサフ掛け後にそっとペ-パ-掛けして低くならしました。上手く行くかどうか不安でしたがやってみると凸部だけ素材のプラが露出し、サフ地の上にパネルラインがくっきりと浮かび上がって来て大成功です。この後はラインに沿ってパネル毎にマスキングし、銀を筆塗りして行く作戦です。合わせ目のラインは消えていますが、残っているラインを延長してマスキングすれば大丈夫(の予定)。マスキングを剥がしたときに出来る塗膜の段差で消えた凸モ-ルドも再生できると思います。

mk_la176_sk72_25
 
mk_la176_sk72_26

mk_la176_sk72_27
 
銀塗装開始。パネル1つ1つをマスキングして銀を筆塗りし、塗膜の段差で消えたパネルラインを再生して行きます。分かっていたことですが物凄く大変です。マスキングの手間もさることながら、1パネル塗ったらそこが完全に乾くまで隣のパネルを塗れないので時間が掛かります。 また、この方法は筆塗りにもかかわらず塗料の消費が激しいことが分かりました。マスキングした狭い面積のパネルを塗るたびに筆を洗っているので、塗料の大半は洗浄ビンに逝ってしまう訳です。

mk_la176_sk72_28
 
mk_la176_sk72_29

修行の様なマスキング→手塗りを繰り返して約1ヶ月、やっと全面を塗り終わりました。一応もくろみ通り、消えた凸モ-ルドは再生できているけれど、筆ムラも結構キツいです。尚、せっかくパネル毎にマスキングしているので銀のト-ンを変えながら塗っています。


☆  ☆  ☆    仕上げ塗装    ☆  ☆  ☆

mk_la176_sk72_30
 
mk_la176_sk72_31

mk_la176_sk72_32
 
mk_la176_sk72_33

今回はサフ下地の上にいきなりパネル毎に銀を塗ったので、仕上げ塗装は デカール貼り → 墨入れ → トップコート の3工程で完了しました。マーキングについては、ネットで拾える実機画像はどれも完全無塗装で国籍マークすら入っていませんが、それだとどこの国の飛行機かも分からないので、作例では垂直尾翼に赤星マークを貼りました。墨入れは油彩の黒をペトロールで溶いて凸モールドの基部に流し込んでいます。写真上2枚が墨入れ前、下2枚が墨入れしてトップコートを掛けた後です。あとは脚を付ければ完成。


☆  ☆  ☆    完  成    ☆  ☆  ☆

胴体収納式の脚はただでさえ取り付けが難しいのに、キットのパーツはガイドがおおらかなので苦労しました。前後左右に開脚角度と接地高など、全て完璧に取り付けるのは不可能です。それでもたっぷり2時間掛けて作業を行い、自分が納得できた時点で完成としました。

古いキットで全体に甘さ・だるさが残っていますが、自分なりにできるだけのことをやり切ることによって、そこそこの完成度には到達した気がしています。

本人満足度 ★★★★
 
mk_la176_sk72_34

TOPへ戻る
展示場へ戻る
展示へ戻る