TOPへ戻る MiG-15UTI 制作記 BOXアート
展示場へ戻る
展示へ戻る KP 1/72

BOXアートの画像をクリックすると、「私が出会ったキットたち」の、それぞれのページへジャンプします。パーツ画像やデカールはそちらをご参照下さい。 このページに戻るにはブラウザの戻るボタンを使って下さい。

還暦を迎えた2018年、自分の模型ライフの一里塚として何か記念になる作品を作ろうと思いました。現存している自分の最古の完成品は1987年(2018年の31年前)に作ったKP1/72MiG-15です。そこでその姉妹キットのKP1/72MiG-15UTIを作って原点回帰すると共に、この31年間の自分の進歩(退歩?)を確認することにしました。

☆  ☆  ☆    胴体の工作    ☆  ☆  ☆
 
このキットはパーツ総数40と少な目で、かつとてもオーソドックスな部品構成のため、組立てる順序に迷うことはありません。先に脚から作るなどと言うあまのじゃくなことをしない限り、自然とコクピットの組立てへと手が動きます。
 

mk_mig15uti_kp72_01

mk_mig15uti_kp72_02

コクピットパーツは床板とサイドコンソールが一体になったバスタブ状のパーツに、シート,計器板,フットペダルおよび操縦桿が付く構成で、私は1/72ならこれで十分だと思っています。尚、操縦桿のパーツは型ズレしていたので黄銅線に置き換えました。
 
mk_mig15uti_kp72_03
 
 
上写真は塗装して組立てた状態です。欲を言えばシートベルトが有ればなお良かったですが、一応キットのパーツに何も足さない方針で作ることにしたので、これでコクピットの工作は終了とします。続いて胴体の工作。
 
 
mk_mig15uti_kp72_04

まずは胴体内側をサッとペーパー掛けして全体をグレーで塗ります。

mk_mig15uti_kp72_06

mk_mig15uti_kp72_05
 
 
コクピットの胴体への取付けはガイドが無いので位置が決まりません。こういう時に私が使う常套手段はエポキシパテを枕にしてコクピットを座らせると言うもの。この方法ならコクピットが宙に浮く様な位置でも取付けることができます。さらにエポキシパテは硬化前でも結構腰が有るのでこういう作業には打って付けです。コクピットが固まったら機首に重りを仕込んで行きます。少ない重りで済ますにはできるだけ機首の先端に重りを付けたいのですが、先端には空気取入れ口のパーツが入って来るので、その分を避けて丸く切った鉛板を貼り付けました。さらにその後ろに細断した鉛片を入れて重さを調整し、ポリエステルパテを上塗りして封じ込めました。
 
 
mk_mig15uti_kp72_07

mk_mig15uti_kp72_11 

mk_mig15uti_kp72_08

mk_mig15uti_kp72_12
 
 
胴体の左右を貼り合わせます。合いは基本的に良好で、全周に渡り特に酷いズレは無く、大きなすき間もできません。このキットは凸モールドが美しくそれを活かして作っているのですが、そう言う場合に合いが良いのは本当に助かります。ただし合いが良くても僅かな段差やすき間は有るので、接着ラインに沿って最低限の幅で溶きパテを塗り、乾燥後慎重にペーパー掛けして修正しました。 
 
 
mk_mig15uti_kp72_09 

 mk_mig15uti_kp72_10
 
 
尾部排気口の中は結構ガタガタしています。大きな溝には瞬着を流し込み、溶きパテを塗りました。乾燥後一度粗く整形した後、グレーの塗料を厚塗りして再度整形します。ここは後で別パーツの排気ノズルが入るので何度も仮組みしてすり合わせておきました。これで胴体の工作が終わり、一段落です。

 

☆  ☆  ☆    翼の工作 と 士の字化    ☆  ☆  ☆

胴体が出来たら次は翼。とても自然な流れです。

mk_mig15uti_kp72_13

mk_mig15uti_kp72_14

主翼はオーソドックスな上下分割で、左右合計4パーツです。各パーツの内側(接着面)には金型の突き出しピンが沈み込んでできる円柱状の突起(上写真左の赤矢印)があるので、貼り合わせの邪魔にならない様に削り取ります。さらに右翼にはピトー管が一体成型されていますがとても折れ易いのでこの段階で切り取ってしまいました。ピトー管は後で金属に置き換えるので、取付け位置が分かる様にマジックで印を付けておきます(上写真左の青矢印)。主翼の上下の合いは大きな問題は有りませんが無修正というわけにも行かず、合わせ目を消したり後縁のエッヂを整えるなどの作業が要ります。一方、水平尾翼は上下一体なのでランナーから切り出してバリ取りすればOK。
 
mk_mig15uti_kp72_15
 
 
これで胴体と翼の工作が終わりました。上写真は士の字前の記念撮影です。ここまで来ると手付かずの部品は小物とキャノピーのみとなり、随分進んだ様に勘違いしますが、これから士の字化工作や小物の仕上げおよび本塗装などなど、大仕事が控えているので全体の進捗度は4割程度と言ったところです。
 

mk_mig15uti_kp72_16


士の字化工作です。胴体と翼、それぞれの工作が終わっていたものを合体させます。

まず主翼の取付け。毎度のことですがキットの取付けガイドだけでは下反角が決まらないので、接着剤が固まるまで手近な器材で支えておきました。資料を見るとMiG-15の下反角は思ったより少ないので要注意です。

mk_mig15uti_kp72_17

mk_mig15uti_kp72_18
 
主翼の付け根には当然継ぎ目が出ますが、すき間や段差は比較的少ないので助かります。通常の接着剤が固まった後、継ぎ目に瞬着を流し込んで固化したらさらに溶きパテを塗って乾燥後ペーパー掛け。ここで瞬着を使う理由は、溶きパテだけだと塗装時にパテが溶けて沈み、継ぎ目が復活するのでそれを防ぐためです。
 
 
mk_mig15uti_kp72_19 
 
mk_mig15uti_kp72_20
 

水平尾翼の取付け。上写真左・赤矢印で示す様に、胴体側の基部後端が左右でアンバランスなのでプラ板の小片で埋めました。その他継ぎ目は主翼と同じ要領で整えます。
 
mk_mig15uti_kp72_21 
 
 
ここまでの全体画像です。士の字になり、MiG-15UTI が形(かたち)になりました。あとはキャノピーを付ければ大方の工作が完了しますが、KPの場合、キャノピーと胴体は合わないのが通例ですので油断はできません。

 

☆  ☆  ☆    小物 と キャノピー    ☆  ☆  ☆

士の字になったら小物を片付けるのは私が自分のスタイルとして守っている制作手順です。本体の塗装が済むと完成が見えて来ますが、そのときまだ小物が手付かずだと気持ちが萎えてしまうので、本体の塗装の前に必ず小物を仕上げる様にしています。

mk_mig15uti_kp72_22
 
小物の内容は脚パーツが13個と、アンテナ,ピトー管,排気口などが5個の合計18個。このクラスの機体の1/72としては極めて標準的だと思います。個々のパーツはディティールがそこそこ有って良い感じです。
 
 
mk_mig15uti_kp72_23 

mk_mig15uti_kp72_24
 
 
mk_mig15uti_kp72_25 


続いて増槽を作りました。MiG-15(17も)の増槽は通常のパイロンの前方に2枚の小さな支持板が付きます。パイロンと支持板、合計3枚を翼下面にピタっと付けるのは難しく、溶きパテと瞬着ですき間を埋めています。
 
 
mk_mig15uti_kp72_26 

mk_mig15uti_kp72_27
 
 
続いてキャノピー。まずまず良い形でフレームの造形も実感があり、パーツとしては合格点だと思いますが、残念ながら胴体との合いが良くありません。
 
 
mk_mig15uti_kp72_28

mk_mig15uti_kp72_29
 
 
キャノピーパーツの底部と胴体側取付け部の状態をじっくり観察して合わない原因となっている出っ張りや段を削ります。上写真左がすり合わせが終わった状態。写真では結構フィットしている様に見えますが、キャノピー底部の幅が胴体よりかなり広いので、接着後にキャノピーの裾を削ってできる限り修正しました。上写真右が修正後です。
 
 
mk_mig15uti_kp72_30
 
 
最後にピトー管を取付けて本体の工作が完了。キットのピトー管は翼に一体成型されていましたが、とても折れ易いので金属に置き換えました。自作した金属製ピトー管は始めは塗装後に取付けるつもりだったけれど、ドリルで開けた穴の開口部のダメージが大きくてピトー管付け根にすき間ができたのでこの段階で取付けてすき間をパテ埋めしました。

 

☆  ☆  ☆    基本塗装    ☆  ☆  ☆

工程はいよいよ本格的な塗装に入ります。

mk_mig15uti_kp72_31

mk_mig15uti_kp72_32

まず初めにやったのは透明部分のマスキング。機体は全面銀塗装にするのでマスクするのはここだけです。次に尾部の排気口に棒を突っ込んで持ち手にします。丁度ピッタリの太さの棒など無いので近い太さの棒にマスキングテープを巻いて調整しました。しっかり固定したいのは山々だけど、ムリをすると胴体が割れるので慎重に行きます。

mk_mig15uti_kp72_33

mk_mig15uti_kp72_34

塗装開始、まずはサフ掛けから。継ぎ目を消した跡など、修正工作をした部分を中心にアラが出ていないかチェックします。幸い大きなアラは見当たらなかったので銀を吹きました。すると不思議なことに、サフ掛けでは見えなかったアラが所々浮き出て来てちょっとガッカリです。

mk_mig15uti_kp72_35

mk_mig15uti_kp72_36

こう言う場合の修正方法はアラを含むパネル1枚を丸ごと塗り直します。上写真左はその一例で、パネルラインに沿ってマスキングしてからペーパー掛けし、サーフェーサーを筆塗りして乾燥後さらにペーパー掛けを行い、下地をしっかり再構築した上で周囲とはトーンの違う銀を筆塗りして仕上げます(上写真右)。これを必要な箇所全てで繰り返してアラを修正し、さらに動翼や点検パネルのトーンを変えて行きます。
 
mk_mig15uti_kp72_37 
 
 
mk_mig15uti_kp72_38
 
 
上写真2枚、アラの修正と銀トーン塗り分けが終わった状態です。一応これでラッカーによる塗装は完了しました。この後はエナメルや油彩による仕上げ塗装に進みます。

 

☆  ☆  ☆    仕上げ塗装 〜 完 成    ☆  ☆  ☆

残る工程は仕上げ塗装と小物付け。このうち仕上げ塗装は 墨入れ,デカール貼り,およびトップコートの3段階からなります。
 
mk_mig15uti_kp72_39 
 
 
mk_mig15uti_kp72_40
 
 
まずは墨入れ。今回の墨入れには油彩を使いました。エナメルでも良さそうですが、エナメルの溶剤はラッカーをわずかに侵食するんです。凸モールドに墨入れする場合は墨を置いた後で余分な墨を細筆で丹念に拭って行くので、場合によってはラッカーが剥がれる恐れが有ります。その点油彩の溶剤(ペトロール)はエナメルよりもラッカーへの侵食がさらに弱いので、私は好んで油彩を使っています。ただし油彩はプラスチックに対して定着しないので、乾いた後でも触ると取れます。墨入れが終わったら早めにデカールを貼ってトップコートするのがお勧め。
 

mk_mig15uti_kp72_41

mk_mig15uti_kp72_42
 
mk_mig15uti_kp72_43
 
私はソ連機しか作らないのですが、キットのデカールにはソ連の国籍マークがセットされていないため、ストックから大きさの合う赤い星を探して貼りました。デカールの中にはトップコートを掛けると縮れてしまうものがあるので、あらかじめ確認してから作品に貼り付けます。

デカールを貼ったら丸1日乾かしてトップコートを掛けます。今回は使い込んだ感じにしたかったので半光沢にしました。トップコートが終われば塗装は全て完了なのでキャノピーのマスキングを剥がします。
 

最後の小物付け。部品はどれも小さくて接着面積が狭く、取付けるのに苦労しますが、それは1/72飛行機プラモは皆そうですからこのキットが特に悪い訳ではありません。焦らず慎重に、取付けに丸1日掛ける程の気持ちで取り組むと良いと思います。
 
mk_mig15uti_kp72_45
 
mk_mig15uti_kp72_44
 

遂に完成です。毎回そうですが脚の接着が十分固まるのを待って初めて自立させた時は心の中で拍手が沸き上がります。終わって見ての感想は、31年前にこれの単座型を作った時の記憶がおぼろげに甦って懐かしい気持ちになりました。出来栄えに不満は無いけれど、予想以上に上手く出来た訳でもないので本人満足度は星4つです。

本人満足度 ★★★★



TOPへ戻る
展示場へ戻る
展示へ戻る