TOPへ戻る 春夏秋冬 制作記 春夏秋冬
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展示へ戻る 1/72

息抜きでたまに作る1/72大戦機が4機揃ったので何か統一したテーマで飾りたいと考え、春夏秋冬・四季のビネットにすることを思い付きました。始めに「冬」を作り、その3年後に残りの「春・夏・秋」が完成しています。

☆  ☆  ☆  冬  ☆  ☆  ☆

一番初めに作ったのが「冬」です。この時はまだ四季全て揃える計画はなく、たまたま作った機体の実機写真をネットで見つけて、それを再現したくてビネット作りに挑戦 しました。

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まずはベ-スから。厚さ4mmの合板を縦横12.5mmの正方形に切り出して四隅にねじ止め用の穴を開け、茶色に塗ります。このままではあまりに真っ平すぎるので、紙粘土を薄く盛り付けて適度な凹凸を作ります。これは自然な地面を作るには欠かせない工程で、雪原でも草原でもこのひと手間の有無で仕上がりが大きく変わります。今回は雪原にするので、紙粘土の上に木工ボンドを塗り付け、スノ-パウダ-を撒いて雪化粧させました。
 
ベースができたところで早速飛行機を置いて見ました。雪原に冬季迷彩がマッチしてイイ感じです。この段階で飛行機以外の小物を仮置きして飛行機の取り付け位置を決め、ベースに固定用のテグスを通すための小穴を開けておきます。

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飛行機以外の小物は車輪止めとドラム缶、それに通行人2名です。車輪止めは自作、ドラム缶は上のキットから、通行人は右端のPreiserのキットからチョイスしました。

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小物の中で一番簡単だったのはドラム缶です。キットをそのまま使っているので当然ですね。逆に一番苦労したのは車輪止め。図面も描かずに黄銅線とプラ板を適当に切って繋いだら歪みまくって大変でした。やはりどんなに簡単そうに見えても自作パーツは図面を描いた方が良いですね。フィギュアは下写真・左端の状態からパテを盛ってオーバーコートを着せ、かぶり物を防寒帽風に細工してやりました。元のフィギュアが良い出来なので助かっています。  
 
 
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人物を配置して完成。

最後に車輪止めをベースに取り付けるのに苦労しました。木工ボンドで付けましたが、細いフレームの下だけではボンドの量が足りず、思う様に付いてくれません。結局ボンドは大幅にはみ出して、乾燥後半透明の塊が見えていますが、これは車輪止めにこびり付いた氷だと自分に言い聞かせています。

 

☆  ☆  ☆  春  ☆  ☆  ☆

「春」のビネットの構想はタンポポが咲き乱れる野戦飛行場の片隅で翼を休めるYak-3です。「冬」と同じ規格の合板のベースに紙粘土を盛り、割り箸で簡単な縁石を作って駐機場を仕立てました。乾燥後、黒と濃淡グレーの合計3色で塗り分け、基本塗装を済ませます。 
 
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次にジオラマ用の素材を使って地面を仕上げて行きます。まず中央の駐機スペースには砂パウダーと小石素材を撒いて人工的に整地した雰囲気を出し、縁石の外側には枯芝状の繊維を撒いて早春の原野風に仕立てました。タンポポの葉になるものは枯葉チップです。これは面倒でしたが1枚ずつ木工ボンドでベースに貼り付けました。  
 
 
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タンポポの葉を緑で塗装した後、花を咲かせて行きます。花は上写真・中央の細かいドライフラワーをさらに小さく切って使いました。茎の部分はとても細いので、ベースに接着するのは大変です。かなりしっかり付けたつもりでも、花の黄色を塗っている時に取れるものが続出。取れたものは再度付け直し、結局この作例ではタンポポの花付けだけで丸1日掛かっています。  
 
 
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「春」にはフィギュアはありません。

最後は機体をベースに括り付けて完成。この作例ではタンポポに注目してもらいたかったので、あえてフィギュアは配置しませんでした。実のところ、春のロシアにタンポポが咲くのか、ネットでいくら調べても決定的な写真が見つからず今一不安なんですが、タンポポは世界中にあるそうなんで、きっとロシアでも咲いていると思います。

 

☆  ☆  ☆  夏  ☆  ☆  ☆

「夏」のビネットのテーマは青い草原と爽やかな日差しです。成功のカギは草原の色合いでしょう。市販されているジオラマ用の草原マットには何種類か色があります。今回はその中からイメージに合いそうな明るい緑色を選びました。もうこの草原マットだけで季節は夏、天気は晴れ・・が表現できている様な気がします。 
 
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まずはいつもの合板ベースに紙粘土を盛り付け、地面の自然な凹凸を表現します。紙粘土の乾燥後に草原マットを貼り付けますが、案外凹凸に追従してくれたので助かりました。ただしエッヂ部分はめくれ易いので、洗濯ばさみで隙間なく押さえつけて一晩寝かせました。 
 
 
綺麗な草原が出来上がりましたが、わざと所々に雑草の玉を植え付けます。右写真の深緑の玉が雑草です。これが飛行機の滑走の邪魔になるので、整備員がこの雑草を抜いているというのがこのビネットの状況設定です。出来上がったベースに機体を置いて見ると色のマッチングもまずまず良い様です。

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続いて雑草を抜いている整備員を作ります。このフィギュアは Preiser の 72507 の中に良いポーズをしてる人がいたので来てもらいました。ドイツ戦車兵なんですが帽子を削り取ってしまえば国籍不明です。上着がシャツだけの軽装で、かつ腕まくりしているのが夏っぽいじゃないですか。シャツは長袖だけれど、ロシアの涼しげな夏にはちょうど良い感じです。
フィギュアの次はリアカ
ーに掛かります。 
 
 
リアカーは始めにプラ板で箱を作っておいて、その上にφ0.8mm黄銅線を適当に切って曲げて貼り付けました。実際のリアカーのフレームは相当複雑ですが、作例では至極単純なフレームになってしまいました。まあ1/72で小さいので雰囲気が出ていれば良しということにさせてください。 

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最後に、飛行機・リアカー・フィギュアの位置関係をどうしようか散々試行錯誤した挙句、飛行機の機首を頂点としてリアカーとフィギュアが正三角形を構成する様に配置しました。完成して見ると、飛行機、リアカー、フィギュアがそれぞれ存在感を主張していて、どれもが主役になり得る配置になったと思います。また、色合いの面では、飛行機、リアカー、フィギュアとも決して明るい色ではないのに、草原の輝きによって直射日光が当たっている様に感じられ、真夏の日中の明るさが表現できたと思っています。何ですか自画自賛になってしまいました。

 

☆  ☆  ☆  秋  ☆  ☆  ☆

四季シリーズの最終作は「秋」です。主役のLa-5FNは「春」と同じ上面緑と茶色、下面ライトブルーの3色迷彩なので、機体ではなくベースで季節感を出して行きます。 

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日本で秋の風景と言えば紅葉ですが、ロシアではどうなんでしょう。調べて見ると北国のロシアでは樹木と言えば針葉樹が主であるものの、落葉広葉樹も一定程度自生していて紅葉がある様です。ただし、赤く染まる葉はまれで、ほとんどは黄色の紅葉だとか。そこで「秋」のビネットのベースは黄色系でまとめました。まず規格の合板に紙粘土で凹凸を付けるのはいつもの通り。その上に黄土色の草原マットを貼り付け、さらに薄茶色の繊維パウダーをランダムに撒いてメリハリを付けました。秋になって色付いた草原と言ったところです。そこにポプラの葉の形をした枯葉チップを1枚ずつ貼り付けて行きます。貼り付け後は枯葉チップを黄色で塗装してベースが完成。散った落ち葉が風で吹き寄せられた自然な感じが出せたでしょうか。 

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フィギュアは毎度の Preiser から 72509 に収録されている整備兵お二人に来ていただきました。服のコントラストなどもっと塗り込むべきなんでしょうが、1/72で小さいんで私の技量ではこれが精一杯です。しかし整備兵の服って地味ですね。おかげで国籍をあまり気にせずにキットが使えます。 
 
 
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フィギュア2体、一人は主脚、もう一人はプロペラに絡ませて配置完了。ストーリー性のない凡庸なジオラマになってしまいましたが、フィギュアのおかげで飛行機の大きさが実感できます。また、黄土色の草原に整備兵の黒服がマッチして、シックな秋の雰囲気が出せたのではないかと思っています。

これで春夏秋冬・四季のビネットが完成しました。一つ一つは小さいですが、4つまとめて飾って見るとそこそこのボリュームになるので、この4部作は4つまとめて一つの作品とします。

 


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