SSBN658 ホテルT級

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KIT REVIEW

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ZVEZDA 1/350 Hotel-1 Class 完成日 2018年 12月16日

ホテル級概要
20世紀後半に長く世界を覆った東西冷戦は第二次世界大戦の終結と共に始まりました。特にアメリカに遅れを取りつつもソ連が核実験に成功すると米ソは核軍拡競争に突入、世界は一触即発の核戦争の恐怖に晒されます。そんな中、全面核戦争を生延びて確実に報復攻撃を行う手段として戦略ミサイル潜水艦(SSB)が登場しました。ソ連では当初、通常動力潜水艦にミサイルを搭載して運用を開始しますが、この艦種は長期間海中で活動する必要があるので、原子力潜水艦が実用化されるとほどなくSSBはSSBN(戦略ミサイル原潜)に置き換わりました。ホテル級
(←はNATOコ-ドネ-ム)はソ連初のSSBNです。1番艦の就役は1961年で、翌1962年までに合計8隻が建造されました。同艦級は搭載しているミサイルの違いにより658型(ホテルT級)、658M型(ホテルU級)、701型(ホテルV級)の3型に分かれますが、8隻全て658型として就役した後、新型ミサイルの登場に伴って7隻が658M型に、1隻が701型に改造されました。当時ソ連は技術面でアメリカに大きく遅れており、相当ムリをして原潜を運用したため故障や事故が頻発。中でも658型1番艦のK-19は航海中に大規模な放射能漏れ事故を起こして乗組員全員が被曝し、その後年月が経つ中でほぼ全員が放射能症で死亡しました。この事件は後に映画化されたので、我々西側の一般市民でもソ連原潜初期の悲惨な状況をうかがい知ることができます。

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当時記

2018年は私が前年2017年12月に満60才でサラリーマンを定年退職した後の最初の年でした。それまでに比べ時間に余裕ができので以前から作りたかったソ連潜水艦に手を出し、このキットと、ZVEZDA 1/350 ノヴェンバー級 の2キット同時制作を敢行しました。2018年4月に着工し、以後月1回ペースで弄って9ヶ月後の同年12月に2作同時に完成。これが私の 1/350 艦船初体験です。2キット同時に作ったのは両方とも ZVEZDA 1/350 の潜水艦でキット内容がとても良く似ていて工作手順が同じだったのと、スプレー塗装の準備や後始末の手間を半減させたかったからです。やってみての結果はもくろみ通り作業効率は上がりましたが、両方とも同じ味の仕上がりになりました。実物は両方とも同世代の艦なのでまあこれでも良いかと思いますが、今後2キット同時制作をやる時は仕上がりの味わいがかぶらない様に気を付けようと思います。

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キットについて
[ZVEZDA 1/350 Hotel-1 Class ] :ZVEZDAは2018年現在、私が知る限り1/350の潜水艦を4種類リリースしています。4作はいずれもソ連/ロシアの原潜だけれど、これはZVEZDAがロシアのキットメーカーだからでしょう。このキット:ホテルT級が世に出たのは2005年で、同社1/350潜水艦シリーズの最初の作品となりました。翌2006年にノヴェンバー級がリリースされますが、この2作はキット内容が非常に良く似ています。詳しくは KIT REVIEW のページをご参照いただくとして、エッチングなど無いプラパーツのみのあっさりした構成は私の様な艦船初心者にも取り組み易く、潜水艦模型の入門用として手ごろです。そんな素性ですのであまり細かなディティール表現は無いけれど、原子力潜水艦の外観はとても単純なので私はこのキット内容で十分だと思います。こういった潜水艦模型を実感十分に仕上げるには塗装が重要ですね。しかし1/350というスケールを考えるとあまり手荒なウェザリングを掛けるわけにも行かず、少し悩みました。この作例では色の違うラッカー系塗料を重ね塗りしてから最表面の塗膜を少し削り、部分的に下層の塗色を露出させて見たのですがいかがでしょうか。

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制作記があります。よろしかったらぜひご覧下さい。 

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