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展示へ戻る AIRFIX 1/72

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AIRFIX 1/72 Il-2 は往年の名キットです。今(2008年)の目で見るとリベット満載の化石キットですが、このリベットを活かした工作にチャレンジしました。

☆  ☆  ☆  胴体の工作  ☆  ☆  ☆

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まずはセオリー通りコクピットから行きたいところですが、このキットのコクピットパーツはシートと人形のみなので、シートは後から組み込むことにして先に胴体を接着してしまいます。胴体上面がピッタリ合う様に接着したところ、下面に0.5mmほどの段差ができました。上下面均等に段差ができる様に接着する手もあるんでしょうが、「段差は下面に」というのが我が家の家訓なのでそれに従います。

当然下面はパテを盛ってガリガリ削ったので、このキットの大きな売りである凸リベットが大量に消滅。上面はピッタリ合わせただけあって、最小限の修正で済みましたが、それでも頂上付近のリベットはダメ-ジをまぬがれません。ちょっと先行して主翼を仮組して見たところ、主翼と胴体の接合部にはもっと凄まじい地獄が待っている様なので、この先いったいどれほどのリベットが無くなるのか想像もできません。これはあとで何とか擬似的にでも凸リベットを再生しなければならなくなりました。

排気管は別パーツになっていて、胴体の凹部に嵌め込む方式です。しかしキットの排気管パーツは貧弱な上、型ずれしているので瞬着と溶きパテを盛って太らせ、カッターとヤスリで適当に彫り直しています。

コクピットの工作ですが、左下写真の計器板は他キットからの略奪品、長方形の板はプラ板、シ-トと透明部品がキットオリジナルです。今回作製する Il-2Ib は単座なので、前席に計器板とシ-トを取り付け、後席のスペ-スはプラ板を貼って塞ぎました。
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この段階でキャノピーを取り付けます。

まずキャノピーパーツの透明度が今一なので、事前によく磨いておきましょう。また風防前縁は右写真のごとく胴体との間にかなりの隙間ができるので、わざと溶剤をとばしてどろどろにした塗料や瞬着を使って埋めます。

次に後席開口部にはプラ板を積層して作った直方体を取り付けます。ここは後々斜銃とアンテナ柱が付く台座となる部分でフェイク設定の Il-2Ib の見せ場となります。

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☆  ☆  ☆  主翼の工作  ☆  ☆  ☆

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主翼のパ-ツはシンプルですが、脚とエルロンが可動するという古風な作りになっています。それでもスケ-ルキットとしての形状が大きく破綻していないのは立派です。しかし、エルロンは固定して隙間を埋めた方が見栄えがするし、脚も塗装の都合で今は可動にしておきますが最終的には固定してしまいます。尚、脚収納部はガランドウなので、翼下面パ-ツの内側からプラ板を貼って塞ぎました。
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☆  ☆  ☆  士の字化工作  ☆  ☆  ☆

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主翼と胴体の合いは基本的に良いのですが、上反角を正しく接着すると下面接合部に1mmほどの隙間ができます。(写真右)今回凸リベットをできるだけ救いたいので、この部分には光硬化パテを使って見ました。つまり、パテ埋めしたあと固まらないうちに余分なパテを拭き取り、それから光に当てることで硬化後のペ-パ-掛けを省く作戦です。結果はおおむね成功でしたが光硬化パテだけでは微小な段差が残るので、溶きパテを少量併用しています。

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士の字になりました。各接合部でかなりのリベットが消えましたが全体としては十分残っているので、このあとリベット消失部分にいかにしてメリハリを作るかが、この作例の勝負どころです。

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☆  ☆  ☆  小物作り  ☆  ☆  ☆

士の字になったので小物に掛かります。この、「士の字になったら小物・・」というのは自分で自分に科しているMyルールです。こうしないといつまでも小物が残るから。

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小物で一番苦労したのはプロペラです。キットのパーツはブレードが透けるほど薄く、端がめくれ上がっているので、瞬着で補強した後、溶きパテを盛って丹念に磨きました。

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☆  ☆  ☆  基本塗装  ☆  ☆  ☆

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まずは缶スプレ-のサ-フェ-サ-を全体に吹きつけ、下地を整えます(写真左)。こうすることで修正し切れていないアラを見つけるわけですが、今回は工作に苦労した割にはアラが少なく、すぐに次工程の下面塗装に入れました。AIRFIXのこのキット、基本的な合いはしっかりしています。

下面塗装はクレオスの118番をボトルストレ-トでスプレ-塗装しています。この時マスキングしているのはキャノピ-と脚庫だけ。この様にマスキングの手間が少ない大面積塗装はスプレ-の方が手軽で良いです。
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上面色の筆塗り(写真右,上下)  →
パネルのトーン変え塗装(写真下) ↓

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上面塗装は一転して筆塗り。グレー一色の単純な塗装ですが下面色との境界が長いので、その長大な色の境界をマスキングする根気がないんです。使った塗料はクレオスの37番を、これもボトルストレートで。キット表面にびっしり打たれている凸リベットのおかげで塗料が均一に伸び、筆塗りでもほとんどムラになりません。

一通り塗装が終わってから機首周りや翼上面などにあるパネルの色調(トーン)を変えました。これだけでもずいぶんメリハリが付いてそれらしく見えてきます。


☆  ☆  ☆  仕上げ塗装  ☆  ☆  ☆

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さて、消えてしまったリベットを補うため、塗装で凸ラインを再現することにしました。方法はごく原始的で、凸ラインを引きたい場所にマスキングテープ2枚で細い溝を作り、面相筆でさっと一塗り。この作業を引きたいラインの数だけ延々と繰り返して行きます。この方法ではどうしてもラインが太くなりがちですが、なにもないよりはましだと思うので、まあやって良かったということにしておきましょう。
 
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さらに、機首からラジエター後部にかけての胴体下面は、自作デカールでパネルラインを再現してみました。まず市販のデカールシートに色を塗っておき、これを再現したいパネルの大きさに切り出します。(写真上↑)

これを貼り付けて乾燥後トップコ-トしてから墨入れすると、デカ-ルのエッヂに墨が回り込んで、結構それらしく仕上がってくれました。
 
←:作業前 / 作業後:→

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デカール貼り完了。過去何回か質の悪いデカールを使って苦労しているので、今回は他キットから新しくて質の良さそうなデカールを持って来て惜しみなく注ぎ込みました。デカールを流用したキットはいつ手が付けられるか分らないし、その時はまた別キットのデカールを持って来れば良いんです。とにかく目の前のキットを完成させることが先決。

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ウェザリングはペトロールで薄く溶いた油絵の具を使いました。面相筆でリベット列をなぞる様に線を描き、生乾きの状態で乾いた別の筆でドライブラシしてやると小口径のエアブラシに似た効果が得られます。興味のある方はぜひお試しください。ただし油絵の具はプラスチックに対して定着しない(こすると取れる)ので、最後にもう一度トップコートが必要です。


☆  ☆  ☆   完  成   ☆  ☆  ☆

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小物を取り付けて完成。今回は塗装とデカールによる凸ラインの擬似再生が一応成功したのでそれなりの達成感を味わうことができました。しかし最後のトップコートでやや艶が出すぎてしまい、惜しいところで五つ★獲得ならず。

本人満足度 ★★★★
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