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私の心の吟線に触れるマイナーソ連機を続々とキット化するAmodel。このままでは同社のキットが溜まる一方なので作って在庫を減らすしかありません。今や未完山の最大勢力にのし上がったAmodel 製品群をさんざん眺め回した挙句、この Il-40初期試作型に白羽の矢を立てました。

☆  ☆  ☆    基本工作    ☆  ☆  ☆
 
翼 および 胴体下部 
 

このキットは機体の大きさの割に部品点数が少な目で、すんなり形になってくれそうに見えます。しかし取説を見ると胴体が上下と機首の3ブロックに分かれていてやや変則気味。そこで翼パーツから組み立て始めました。写真・右が尾翼、左下が主翼です。普通、垂直尾翼は胴体と一体になっているものですが、このキットは分離しているので、初期型と改良型で垂直尾翼の形が違うのかと思いきや、そうではなくて金型構成の都合で分離しているだけの様です。作り手にとって無意味な分割もキットの味のひとつと理解しましょう。

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主翼は後縁が厚ぼったいけれど翼自体も異様に厚いので、「実機がこうなっているんだ」 と解釈して特段薄くする工作は行いません。 

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3つのブロックに分かれている胴体、写真上↑はその内のひとつの下ブロックです。ここは実機ではエンジンが収まって主翼が取り付く核となる部分で、後縁にエンジン噴射口が開きますがその内面に接合ラインが走るため、パテや塗料で丹念に均しながら面一に仕上げます。(写真左) もうひとつ内側の修正が必要なのは空気取り入れ口のパーツ。ここは左下写真のごとく中で左右が繋がってますが実機では絶対そんなことないんで、0.3mmプラ板を適当に切って貼ってエポキシパテで補強し、個々に独立させました。

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空気取入れ口内部の修正が終わったらタ-ビンブレ-ドのパ-ツを取り付けてブロック本体に接着。この辺の合いはとても良いので思わず鼻歌が出ます。また下ブロックの上面がコックピットの床になっているので、ここにラダ-ペダルと操縦桿を接着します。

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胴体上部 と 機首

続いて胴体上部ブロックに移ります。上部ブロックは下部ブロックに載る構成で下面がごっそりえぐれているため、左右を接着した直後はペナペナで強度が心配になりまが、別パーツになっている操縦席の仕切板3枚を接着すればしっかりするので大丈夫です。胴体と仕切板の接合部にはすき間ができたのでパテ埋めしました。ここまでの工作では外側よりも内側にできるすき間や段差の修正がポイントになります。内側と言っても完成後に容易に外から見える部分なので手は抜けません。 
 

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胴体上下が出来れば残るブロックは機首部です。ここは脚庫の取り付けが曲者で、位置が決まり難い上、取り付け後の強度も不安だったのでエポキシパテで固定。さらに、かなりのテールヘビーが予想されたため、余ったエポキシパテを先端に詰めて直径5mmの鉛玉を3個埋め込みました。これで仮組みして重量バランスをチェックしたところ、下写真のごとく尻上げには程遠い状態。尾部には機銃や下面の安定板など、まだまだ部品が付くので機首の重りは相当増やさなければなりません。結局鉛玉を6個足しました。持った感じ、かなり重いです。

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胴体上下と機首の工作が終わったらいよいよ3つのブロックを合体させます。計器板を上部胴体の内側に接着。シ-トは後からでも付けられるので今は塗装だけ。各ブロックの合いは大きな破綻はないものの、やはり相応のすき間や段差ができます。それらを一通り修正して、ようやく下写真の状態に到達。やっと飛行機らしくなって来ました。筋彫りは凹ですが修整の削り込みで一部消えるので小まめに彫り足します。

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士の字化工作
 

この制作記の冒頭に書いた通り、垂直尾翼は胴体とは別部品になっています。選択部品でもないこの垂直尾翼が別パーツなのはおそらく金型の制約でしょう。Amodel のランナーがみな小ぶりなのは金型や成形機の能力に制限があるからで、それが同社独特のパーツ割りや部品の風合いの源になっています。
 
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主翼の取り付けは大仕事になるかと思いきや、すんなりくっ付いてくれたので助かりました。この機体、ジェット機とは思えないほど翼が厚く、胴体との接合面積がたっぷり有るのでムリなく接着できたと言う訳です。反対に境界層制御板の取り付けには苦労しました。左の写真では小さくて見えないけれど、制御板と翼の間にすき間があるのでエポキシパテで埋めてあります。制御板自体も厚ぼったいので、パテが乾いてからできる範囲で薄く成形しました。 水平尾翼は付け根の前縁が垂直尾翼より前に出るので、適当に削って合わせてあります。

☆  ☆  ☆    キャノピー と 小物    ☆  ☆  ☆

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基本工作が終わって士の字になるとだいぶ進んだ気分になりますが、ロシア東欧系のキットでは胴体とキャノピーは合わないことが普通なので、キャノピーが付くまでは気を抜けません。この作例でも案の定、結構な修整工作を余儀なくされました。以下その顛末です。

キャノピーを接着する前にまずはシートを取り付けなければなりません。コックピットの横幅は凄く余裕があって並列複座も可能なほど。シート1つだとスカスカです。実機はサイドコンソールなど有るんでしょうが、キャノピー接着後は良く見えなくなるのが常ですからスカスカのままにしておきます。

続いて透明部品の接着。仮組みしたところ透明部品の方が胴体より一回り大きかったので、透明部品の底部を削ってすり合わせを試みましたが調整し切れず、接着してから外側を削って胴体のラインに合わせました。

当然透明部品は曇りガラス状態になりますが、この状態から5段階研ぎ出して行って最終的に写真左(←)の状態まで透明度を回復。この工作で透明部品にほどこされていた窓枠のモールドは完全に消失しました。

普通なら後は箱絵を頼りに塗装ということになりますが、今回は幸いにも改良試作型のキットが手元にあるので、それの透明部品の窓枠を参考にして塗装して行きます。こういう作業はマスキングが命です。短気を起こしたら負け。はやる気持ちを抑えて意識的にゆっくり作業してじっくりネチネチと取り組んだおかげで、不器用な私でも写真左下ほどの完成度に仕上がりました。改良試作型を作るときも透明部品の窓枠は無くなっちゃうと思いますが、そのときは今回作った窓枠を見ながら作るつもりです。


次、翼端のピトー管(状のもの)はプラパーツだと弱いので金属に置換えました。角度と長さが左右で同じになる様にするには案外骨が折れます。特に角度は取付け時よりも取付け用の穴をあけるときにほぼ決まってしまうので、そのつもりで穴あけ作業に取り組みましょう。(↓)
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以上で工作は終了し、本格的な塗装に入る準備が整いました。私の制作スタイルはいつも、この時点で小物を片付けます。そうしないといつまでも小物が残るから。このキットの小物類はとても素直で特段問題はありません。唯一機銃のみ金属パイプに換えました。

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ここまで来ると全体の半分位は終わった気分になります。


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☆  ☆  ☆    基本塗装    ☆  ☆  ☆

基本塗装はサフ掛けと全面銀、両方ともスプレーで塗装します。持ち手は機尾の機銃ドームを接着せず、ここに棒を差し込みます。機銃ドームは塗装終了後に付けますが、この段階で仮組みして十分すり合わせておきます
 
まずはマスキング。マスクする箇所は透明部分と空気取り入れ口、それに脚収容部です。このキットの場合、脚庫の開口が異様に小さいのでマスクは楽でした。次にサフを2度吹きした後、修整し切れていない部分に溶きパテを筆でタッチアップして4時間乾燥させ、2000番のペーパーで仕上げてからさらに3回目のサフを吹きました。続いて全面にクレオスの8番銀をスプレー。サフの仕上げにはずいぶん気を使ったけれど銀を吹いて初めて見えるアラもあって、これで完了とは行きません。このあと手塗りでパネル毎に銀のトーンを変えて行きますが、アラはそのとき個別に対応します。
 
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☆  ☆  ☆    仕上げ塗装    ☆  ☆  ☆

仕上げ塗装のポイントはパネル毎のアラ修正と銀トーン塗り分け、およびウェザリングです。ウェザリングには今回初めてタミヤ・ウェザリングマスターを使ってみました。そしてデカール貼りとトップコート。これら最終工程で失敗すると今まで積み上げて来た基本工作や基本塗装の苦労が水泡と帰すので失敗は許されません。

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 まずは銀トーン塗り分け。
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そしてウェザリング。なにぶん初めてですからいきなりやったら失敗は目に見えてるので、まずはダミーでの練習からスタートしました。このウェザリングマスターという資材は色の付いた微粉末をスポンジや刷毛でプラの表面に擦り付けて使います。始め、全てのパネルラインにウェザリングのぼかしを入れようかと考えましたが、そこまでやるには数年掛けて奥儀を極めてからでないとムリと悟ったので、今回は機銃口周辺と動翼部付け根に限定的に使いました。初めてにしてはそこそこ上手く行きましたかね。右の写真では分からないけれど、エルロン,エレベーターおよび方向舵の付け根はやり過ぎ(汚し過ぎ)の感じもします。 

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☆  ☆  ☆    完  成    ☆  ☆  ☆

最終組立てでは脚がグラついて往生しましたが、瞬着で強引に付けてしまいました。これからこのキットを作る方がいらっしゃいましたら、脚の取付けは基本工作時にきちんと補強することをお勧めします。その他は大過なく完成。初めて挑戦したウェザリングマスターもまずまず上手く行って良かったです。

本人満足度 ★★★★

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