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展示へ戻る EASTERN EXPRESS 1/72

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 ☆  ☆  ☆  エ ン ジ ン と コ ク ピ ッ ト  ☆  ☆  ☆

2007年春、「エース」がお題の展示会に向け、La-5を作り始めました。機首に派手なドラゴンマウスが描かれた箱絵がとても印象的だったので、ぜひこのマーキングで完成させたいと思います。製作はエンジンとコクピットからのスタートとなりました。この2つは左右胴体を貼り合わせる前に工作を済ませる必要があるので、おのずと最初に手掛けることになります。

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まずエンジンですが、空冷二重星型14気筒 ASh-82 エンジンがきっちり再現されています。さらに防寒シャッターとおぼしきパーツも付いて、全て積み上げると相当な高さがあります。取説によれば底板となる円板状の部品を胴体内側のかなり深い位置に接着して、そこから部品を積んで行く仕様ですが、スピナ先端をきちんと機体の中心に合わせることができるか自信がありません。一方、カウリング先端はかなり絞り込まれているため、防寒シャッターと太いスピナを付けると中のエンジンは全く見えません。そこで軟弱な私はこの時点でアッサリとエンジンを切り捨てました。カウリング先端パーツの底面をプラ板で塞ぎ、裏からシャフトを通して防寒シャッターだけ取付けます。こうすれば比較的簡単にスピナ先端を機体の中心に合わせることができます。

次にコクピットは胴体内側にかなり緻密なモールドが施されています。キャノピーを閉じてしまえばあまり見えなくなることは分かっているけれど、せっかくのモールドなので出来る限り塗装してみました。その他のコクピットパーツは床板,着座部,背もたれ,操縦桿,ラダーペダル,計器板 および 背もたれの後ろに付く部品(無線機?)の7点あって、1/72としてはかなり多いです。エンジンもそうですが、このキットは小スケールなのにディティールにこだわったキットですね。それはこのキットの個性ですから別に良いんですが、細かい部品の強度が弱くてランナーから切り出す際に折れたり、上手く切り出せてもバリ取りの最中に折れたりして苦労します。私もラダーペダルを折ってしまいました。
 

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コクピットパーツのうち、胴体に取付けるのは計器板と背もたれの2パーツで、他は主翼下面パーツの内側(上面)に取付けます。上写真・左端の計器板の上に写っている長方形のものは照準器(のつもり)で、ランナーを削って自作しました。中央は左右胴体接着後のコクピットの様子。右端は主翼下面パーツの上に取付けた状態のコクピット底部です。折ってしまったラダーペダルは黄銅線とプラ板で自作してあります。


 ☆  ☆  ☆  基 本 工 作  ☆  ☆  ☆

エンジンとコクピットの目途を付けたら、いよいよ大物パ-ツを組んで行きます。まずは主翼から。パ-ツ構成は左右一体の下面パ-ツの上に左右別体の上面パ-ツが乗る構成で、何の変哲もありません。・・が、下面パ-ツの内側にところどころ円柱状の突起が出ているため、まずはこの突起を削り落とさないと接着できません。この円柱突起は「突出しピン」と言って、金型に仕込まれている可動ピンに由来するものです。「突出しピン」は成形されたパ-ツを金型から取り出す際に金型の中から出張って来て、パ-ツを押す仕組みです。通常はピンが引っ込んだ状態ではピンの先端が金型表面と同じ位置にあるため、成形されたパ-ツにはピンの跡が薄っすら残ることはあっても、突起ができたり穴が開いたりすることはありません。ところがこのキットの場合、主翼下面パ-ツにある合計8本の「突出しピン」のうち、まともなのは3本だけで、残り4本が突起,1本は穴になっていました。よほど金型調整が狂っていたのでしょう。願わくばこれは私が入手したキット特有の問題(個体差)で、多くのキットにはこの様な不具合がないことを祈ります。

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胴体は左右と先端のカウリングが基本で、これに機首上面の出っ張りが別パーツで付いています。合いは良好ですがプラ質が柔らかいためか接合線が消えにくいので、接合部に溶きパテや塗料を塗って乾燥後十分ならします。作例では後で塗装に影響しない様にプラ素材の色に近いグレーの塗料を使いました。尚、コクピット後方の小窓は小さい透明パーツを嵌め込む仕様ですが、接着ののりしろが有る様で無いので上手く接着するのは難しいです。私はセロテープで仮止めしておいて流し込み接着剤を垂らしたところ、平面部にも拡散してしまい透明度が落ちました。

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キャノピーは風防と天窓が一体成型されたオーソドックスな構成です。このキットの緻密なコクピット内部を見せたいなら自力でキャノピーを開けなければなりません。まずは風防と天窓の境目で切断します。これは上手くいったのですが、磨いているうちに風防が割れてしまいました。しかたがないので他キットに予備で入っていたバキュームのキャノピーを流用します。

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主翼の取付けで問題発生。胴体近傍で翼上面側の盛り上がりが足りず、胴体側のフィレットから一段下がってしまいました。ここは溶きパテをタップリ盛り付けてかさ上げした後、色の差が目立たない様にグレーの塗料を被せてならし、段差を消して行きます。
 
 
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水平尾翼の取付けでも相応の段差とすき間ができます。私は個人的に水平尾翼の付け根に接合線が残るのがイヤなタイプなので、瞬間接着剤とパテを使って完全に消しました。
めでたく士の字に到達です。

 

☆  ☆  ☆  小 物  ☆  ☆  ☆

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士の字になったら小物を片付けるのが私の流儀です。こうしないといつまでも小物が残るから。しかし今回はいつもと少し様子が違い、若干の追加工作が必要になりました。

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とにかくこのキット、細かい部品の強度が不足しています。写真・左上はピトー管ですがバリに覆われていますね。ランナーからはずして慎重にバリ取りを始めたところ、ほとんどバリが減らないうちにポッキリ折れてしまいました。そこでステンレス線で自作しました(同写真・上)。その右側の写真は主脚柱を斜めに支える支持棒ですが、これもバリ取り中に折れてしまいました。折れたのは写真・右半分の細い部分なので、この部分を黄銅線に置き換えました。

その他の部品は何とか壊れることなくバリ取りを完了。主脚柱も細い部分があってハラハラしましたがどうにか切り抜けました。それぞれ塗装を済ませ、本体の完成を待ちます。
 

☆  ☆  ☆  本 塗 装 〜 デ カ ー ル 貼 り 失 敗  ☆  ☆  ☆

本格的な塗装に入ります。まずはサフを吹いて下地作り。一見したところ、目立ったアラもなく順調です。この時点で方向舵を黄色に塗りました。上面色の緑を塗った上から黄色を塗ると発色が悪くなるので、白に近いサフの段階で黄色を置いておきます。

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次に方向舵だけマスキングして下面色のライトブルーを吹きました。スプレー塗装はここまで。乾燥後、筆塗りで動翼のトーンを変え、脚庫内をグレーに塗りました。
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上面の緑は筆塗り。薄めの塗料で2度塗りして仕上げて行きます。最初は筆ムラを気にせず、ごく普通に塗りますが、これは緑色の色下地だと思ってください。2度目の塗装が勝負になります。できるだけ筆ムラが目立たないように手際よく塗りますが、多少のムラが残っても、その後のウェザリングとトップコートで最終的にムラは気にならないレベルまで減るので大丈夫です。  
 
 
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このキットの鬼門はデカ-ルでした。肝心のドラゴンマウスは良い形してるんですが、フィルムが硬くて機首の曲面にどうしてもフィットしません。写真・左上の状態ですでにマ-クフィッタ-(デカ-ル軟化剤)を塗って24時間経っているけれど貼り付く気配さえありません。そこで黒い部分をカットして歯と唇だけにしてもう一回マ-クフィッタ-を塗ったところ、ようやく馴染んでくれました。他のデカ-ルは一応貼れたのですが、赤星に気泡が入ってしまい、乾燥後に針でつついたらパリパリとひび割れて脱落してしまいました。15番の白とドラゴンマウスの歯の白も相当透けていて、このデカ-ル貼りは失敗に終わりました。

 

☆  ☆  ☆  リ カ バ リ ー  ☆  ☆  ☆

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デカール貼りに失敗したのは2007年の秋、その年の展示会の直前でした。もう間に合わないと分かった段階で手が止まり、La-5は冬眠に入ります。次に事態が動いたのは2013年の11月。放置期間は6年におよびます。プラスチックって長持ちしますね。

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再開のきっかけになったのはフィギュア塗装でした。2013年の夏から秋にかけてYak-1のジオラマを作ったのですが、そのとき初めて1/35級のフィギュアを塗装して見て、その大変さが良く分かりました。特に人の顔は繊細で微妙で、ちょっとした筆使い・色使いで雰囲気が変わるので、とても苦労しました。人の顔が塗れたのなら、飛行機の鮫歯マーキングだって塗れるかも知れない。と言う訳でこのLa-5を引っ張り出し、デカールの上から、ラッカー系塗料で筆塗りしたところ、6年前にはあきらめ掛けていたLa-5のドラゴンマウスが、スラスラと描き上がってしまったのでした。
 

その他のマ-キングもデカ-ルの貼り跡を頼りに上描きしようと思ったのですが、白の15が簡単に剥げ落ちてしまったので結局全部削り落としました。6年前に貼ったデカ-ルはところどころ強固にへばり付いていて、部分的に素材のプラが露出するほど削っています。それを何事も無かったかの様に修整して行くのは予想以上に難しい。結局プラ露出部を中心に何回か塗り重ね、周囲の色と調和して来たら2000番のペ-パ-で境界を均し、最後に一定の面積をマスキングしてその面全体を塗って仕上げることにしました。旧デカ-ルの剥がし跡以外にも、主翼下面と後部胴体の継ぎ目が薄っすら浮き出していたのでここも修整しました。結局全表面積の6割程度を塗り直してリカバリ-完了。

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☆  ☆  ☆  仕 上 げ  ☆  ☆  ☆

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仕上げ塗装は墨入れから。油彩の黒をペトロ-ルで溶いてパネルラインに流し込み、メリハリを付けて行くのですが、ここでやり過ぎると劇画調になるのでほどほどにしておきます。次にデカ-ルは1回目の失敗で懲りているので、少し高価だったけれど別売りデカ-ルを使いました。肝心のドラゴンマウスはオリジナルデカ-ル+手描きなので別売りの方は余っています。その後、全体をフラットクリアでトップコ-トして仕上げ塗装完了。やることはまだあります。まずはキャノピ-。6年間貼ったままのマスキングを剥がすのは勇気が要りました。思った以上に塗料が入り込んでいたので模型用精密綿棒にシンナ-を含ませて少しずつ丁寧に拭き取りました。キャノピ-は風防は固定、天窓は脱着可能です。付けた状態で違和感がないことが重要なんですが、今回は何とか上手く出来ました。最期に脚とアンテナ類を取付けて完成。一度は諦めかけたキットだったので、満足してます。
 
 
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本人満足度
★★★★