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2017年から2018年にかけてラボーチキンの機体を連作した時期がありまして、ジェット機が手詰まりになったものですから、このLa-9/11で一息つきました。

☆  ☆  ☆    胴 体 の 工 作    ☆  ☆  ☆

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La-11はLa-9の派生機で外観上の違いが僅かなため、プラモデルではコンバージョンが可能です。MPMのキットはひとつのパッケージでLa-9と11のどちらかを選択して作る方式。今回はこのキットを2個使ってLa-9と11を2機同時制作します。それにしてもレトロなパッケージですね。ここはひとつ古い模型の制作を楽しみましょう。

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まず胴体ですが内側に円柱状の出っ張りや金型由来のキズが有るので、出っ張りは切除し、キズは塗料で埋めてペーパー掛けします。特に中央部の出っ張りはこれを切除しないとコクピットのパーツが入らないので必ず切除しなければなりません。

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次にパネルラインの筋彫りに手を入れます。筋彫りは凹ですが浅いので適度に増し彫りしました。この後、工作でペーパー掛けしたり塗装したりするうちに筋彫りは埋まって行くので、この段階ではややきつ目に彫っておきます。上写真で所々塗ってあるグレーの塗料は増し彫り時にはみ出した堀りキズを修正するためのタッチアップです。 

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増し彫りしてはみ出した彫りキズの修正をパーツの状態で済ませてから左右胴体を接着しました。基本的な合いは良く、この段階で特段大きな問題は発生していません。

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接着剤が十分固まった後、継ぎ目を消しますが、その際コクピット後方の小さな透明部分の工作と、尾輪収納庫の修正を済ませました。小さな透明部分はキットにはバキュームでパーツが入っているけれど、薄くて頼りないので透明プラ板に置き換えています。尾輪収納庫は底面がギタギタに荒れていたのでプラ板で底打ちし、壁面にはエポキシパテを塗り付けて平準化しました。続いてコクピットの工作に入ります。

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コクピットパーツは、床板・計器板・操縦桿・シート・背もたれ・後部コンソールの6点で、1/72単座レシプロ機としては十分な内容です。実際に組んで見ると後部コンソールが長いのか、背もたれが入りません。コンソールの短縮も考えましたが、ここは背もたれを省略した方が収まりが良いのでそうしました。

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計器板と胴体の間には小規模ですがすき間と段差ができます。作例では瞬着と溶きパテで埋めて乾燥後ペーパー掛けし、仕上げにクレオスの40番・ジャーマングレーをひと塗りしています。次は機首先端にカウリングを着けますが、そこにはプロペラが絡んだ工作が必要なので、プロペラ周りを先に片付けます。

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プロペラ周りのパーツは機首カウリング、3翔のプロペラ、スピナの3点です。機首カウリングは防寒シャッターが閉まった状態でモールドされていて中が見えず、従ってエンジンは再現されていません。まあそれは許すとして、問題はプロペラに軸がなく、カウリングには軸を通す穴も開いていないことです。このままではプロペラはカウリングに接着固定となってしまうので、軸と軸受けを自作することにしました。あと、スピナはプロペラが収まる窪みが埋まっているので、棒やすりで削り出します。 
 

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軸受けは当初、パイプを使おうと思ったのですが、適当なパイプが手元に無かったのでプラ棒に穴を開けて自作しました。長さ10mm・直径3mmのプラ棒の中心に直径1mmの穴を貫通させるのは私にとってはちょっと難しかったけれど、何とか勘だけで乗り切りました。やれば何とかなるものです。

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プロペラの軸は直径1mmのステンレス線で作りました。軸受けとのすり合わせを十分行い、プロペラが気持ちよく回る様になったら軸受けをカウリングの内側に取り付けます。接着剤だけでは弱いので、根本にエポキシパテを盛って補強しました。一連の工作が済んだらカウリングを胴体の先端に取り付けます。最後にカウリングに彫られている機銃口のモールドを若干修正して胴体の工作が完了しました。


☆  ☆  ☆    十 の 字 と 機 首 の 修 正    ☆  ☆  ☆

続いては翼の工作、さらに十の字にしてから機首下面の修正を行います。

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まずは主翼の工作。パーツのうちに筋彫りを増し彫りしてはみ出した部分をタッチアップします。この状態で主翼の上下を接着し、乾燥後にペーパー掛けしました。ちょっと苦労したのは左翼の脚付け根付近に付く透明部分です。キットではバキュームパーツが入っていますが使いずらいので、厚い透明プラ板を切って貼って削って仕上げました。

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出来上がった主翼を胴体に取り付けます。機首下面と右翼上面で胴体との間にすき間と段差が発生。合いはまあこんなもんでしょう。大きなすき間はエポキシパテで埋め、細かな凹凸は溶きパテで平にしました。
 
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このキットの山場は機首下面です。実機の形状は、La-9は機首下面と主翼下面が一直線になり、La-11はそこにオイルクーラーがあるのでその分出っ張ります。キットの機首下面は直線なんだけど主翼下面よりは出っ張っているので、La-9/La-11とも修正して実機の形状に近づける努力をしました。まずLa-9、上写真・左が修正前、右が修正後です。ひたすら削ったのでカウリングの断面が真円からズレちゃったけど、私の腕ではこれ以上どうしようもありません。 
 

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続いてLa-11、2つ上の写真・左が修正前、右が修正後。こちらはまずまず思っていたイメージに近いものが出来ました。オイルクーラーは結構ボリュームが有るのでプラ板で芯を作り、その上にエポキシパテを盛って形を整えています。

 

☆  ☆  ☆    士 の 字 と キ ャ ノ ピ ー    ☆  ☆  ☆

メインの工作の最後は士の字化とキャノピーの取付けです。

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水平尾翼は上下1体成形で1機分は2枚、従って2機分で4枚です。例によってパーツのうちに筋彫りを増し彫りし、ペーパー掛けして表面を整えました。胴体との接合は何のガイドもないイモ付けなので接着剤をたっぷり塗ってガッチリ接着します。また、この段階で尾輪収納庫の扉も取り付け、水平尾翼の付け根共々胴体との接合部をペーパー掛けして継目を消しました。

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上写真2枚は士の字になった全体像を下面から見たもので、左が La-9、右が La-11。オイルクーラーの位置が、La-9 は主翼後縁の胴体下面にあるのに対し、La-11 では機首下面に移されています。La-11 は航続距離を延ばすため、重心付近の燃料タンクを拡大したのでこうなったのでしょう。

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続いてキャノピーの取付け。キャノピーはバキューム製で、慎重に切り出しても胴体との間にすき間ができるのは免れません。接着後、すき間をグレーの塗料で埋めて、乾燥後ペーパー掛けして胴体に馴染ませます。ペーパー掛けで曇ったキャノピーを研ぎ出して、透明度が回復したら窓枠を塗装してキャノピー取付け完了。

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キャノピー取付けが済んだ状態を上面から見ます。左が La-9、右が La-11。窓枠の色が違いますが、これがゆくゆくはそれぞれの機体色になります。La-9 は下面ライトブルー・上面ダークグレーの2色迷彩。La-11 は全面ライトグレーにする予定。


☆  ☆  ☆    小    物    ☆  ☆  ☆

士の字になったら小物を片付けます。

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小物は脚を中心にプロペラ、アンテナ、ピトー管などで、1/72レシプロ単発機としてはごく一般的な内容です。上写真、左が La-9、右が La-11。同一キットのコンバージョンだから内容は同じだけれど、La-11 は風防頂部に付くバックミラーとオイルクーラーのフラップ(このパーツのみ自作)が追加になります。


☆  ☆  ☆    基 本 塗 装    ☆  ☆  ☆

小物が終わったら本体に戻り、いよいよ本格的な塗装に進みます。

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まずはサフ掛けに備えて透明部分をマスキングします。キャノピーは窓枠スレスレではなく、胴体の筋彫りに合わせて少し広めにマスキングしました。これだとキャノピーと胴体の境界が目立たず、現用機的な仕上がりになるんじゃないかと期待しています。マスキング後、缶スプレーのサフを全体に吹き付けました。

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サフ掛け後は工作のアラが残っていないか慎重に点検します。特に La-11 の機首下面など、パテ盛りした部分は要注意なんだけれど、今回は意外にアラは少なく、最小限の修正で下地が出来ました。上写真、左が La-9、右が La-11。La-9 はこの段階で機首カウリングと垂直尾翼方向舵の塗装を済ませます。

さて、この作例から初めてエアブラシを使い始めました。それまでは大面積を吹き付けるスプレーで大まかに吹き付けた後はもっぱら筆塗りし、部分的にエナメルと綿棒で仕上げる・・という塗り方だったけれど、その方法では限界を感じていたんです。ワンランク上を目指すならやはりエアブラシは必須ということで思い切ってエアブラシを買いました。初めての作業は筋彫りに沿って黒い塗料を細吹きする、いわゆる「シャドー吹き」。結果は下写真の様になりました。すっごい下手、もうヘロヘロ。

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まあ、初めての作業でそうそう上手く行くとは思っていなかったけれど、これほどヘロヘロになるとも思っていませんでした。これはこの先、相当練習しないとモノにならないかも知れません。一応、上写真・左が La-9(上面)、右が La-11(下面)です。 

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気を取り直して機体色を吹き付けます。1機目はLa-9。まず下面のライトブルーを吹き、マスキングしてから上面のダークグレーを吹きました。両色とも大面積への均一な吹き付けですが、今まで使っていたスプレー機材ではなく、新しく買ったエアブラシを使いました。理由はスプレー機材だと塗膜が厚くなって下地のシャドーが透けないからです。で、結果は、ライトブルーもダークグレーも十分薄く吹いたつもりなんだけれど、予想以上に下地が隠蔽されて、シャドーがほとんど見えなくなりました。この辺の塗り加減は何度も経験を積んで自分なりのノウハウを見付けないと上手く行きません。

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続いてLa-11を塗ります。こちらは全面ライトグレー。La-9 と同じ要領で吹き付けたのですが、今度は下地が適度に透けて良い具合にシャドーが出ました。多分塗料の隠蔽力の違いで差が出たんだと思います。吹き付け塗装の後は(La-9 もそうですが)機首の銀環や脚庫内など細部を筆塗りしてラッカー系塗料による塗装を終えました。


☆  ☆  ☆    仕 上 げ 塗 装  &  完 成    ☆  ☆  ☆

基本塗装が終われば後は仕上げです。ここからは主にエナメルを使って基本塗装の上にメリハリを付けていきます。

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上4枚、La-9 です。これは下地に吹いたシャドーが表面の塗色で隠蔽されてしまったので、エナメルでシャドーを上描きしました。やり方は表面の塗色と同系で暗色のエナメル塗料(下面:シーブルー,上面:ジャーマングレー)を筋彫りに沿ってライン状に塗った後、エナメルシンナーを含ませた細筆でぼかしています。エナメルはラッカーを溶かさないので、気に入らなければ何度でもやり直せるのが良いですね。これは結構細かい作業で、「塗る」と言うより「描く」感じです。

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続いて上4枚、La-11です。こちらは下地のシャドーが見えているけれど、La-9 と同様にエナメルのシャドーも足しました。さらに画像では良く分かりませんが、デッキタンで要所にハイライトを入れています。たとえば風防前方の車で言えばボンネットにあたる部分、長方形パネルの中央が周辺より明るいですよね。これがハイライトです。
 
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塗装の最後の仕上げは、デカール貼り,ウェザリング,トップコート,透明部分のマスキング剥がし の4工程です。まずデカールはキットのものを使ったのはLa-11の黄色の07番のみで、赤星は別売りの汎用デカール、La-9の28番と機首のエンブレムは他キットからの流用です。続いてタミヤのウェザリングマスターで排気煙とLa-11の銃口まわりにウェザリングを掛けてからトップコートしました。トップコートが十分乾燥してから透明部分のマスキングを剥がします。幸い塗料の流れ込みは有りませんでしたが、マスキングエッヂに塗膜段差ができたのでシンナーを含ませた細筆で修正しました。 
 

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脚とアンテナの取付けは多少難航しましたが何とかこなし、2機同時にロールアウトです。左がLa-9、右がLa-11。機体形状はほぼ同じなので塗装で差を付けました。La-9はネットで見つけた飛行可能なレストア機(もしくは再生産機)でウェザリングは控えめ、トップコートは半光沢。La-11は使い込まれた実用機の想定で、きつめのウェザリングと艶消しのトップコートを掛けました。

今回は初めてエアブラシを使ったり、意図的にシャドーやハイライトを入れたりして見ました。自分にとって新しい試みがそこそこ上手く行ったので、満足度は高めです。

本人満足度 ★★★★


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