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基本的にジェット機モデラーの私ですが大戦機も好きでたまに作ります。2019年7月、このYak-7Bが完成したことによって、WWUの主要なソ連戦闘機は一応作り終えました。私にとっては一つの区切りです。

☆  ☆  ☆   胴 体 の 工 作   ☆  ☆  ☆
 
2019年現在、1/72 の Yak-7 と言えばこの VALOM がメジャーだと思います。各型出ている中、今回は実機が最も多く生産された Yak-7B を作ります。
 
 
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まずはコクピットから行きます。これを片付けないと胴体が閉まりませんから。内壁のディティールはレジン製です。実はレジンにはあまり馴染みが無いので上手く出来るか心配でした。しかし今では「ゆっくり固まるゼリー状瞬間接着剤」なんていう便利なものが売られているので、そういう工作資材の力を借りて作って行きます。
 
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計器板は透明フィルムをプラパーツとエッチングで挟む豪華仕様です。私はこの仕様の計器板を組むのは初めてだったので、どんな風に出来るかワクワクでしたが結果はまあ普通な感じになりました。慣れたモデラーさんならもっと実感が出るのでしょうが、これは私の力量不足ですね。まだまだ経験が足りません。一方、床板・シート・操縦桿は通常のプラパーツで、こちらは慣れているので問題なく塗り上がりました。

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床板にシートと操縦桿を取付けます。1/72なので私としては「もうこれで良くね?」とも思いますが、このキットにはエッチングでフットペダルとシートベルトが付いています。キットに付いているモノを使わないのは忍びないので、自分の視力の限界と戦いながら何とか付けました。やっぱりシートベルトがあると見栄えがしますね。

以上で胴体に収まるパーツは一応終了です。使ったパーツを数えるとフィルムやエッチングを含め全部で18個でした。胴体を閉める前でこの数は1/72大戦機にしては多いですね。でも箱の中にはプラパーツもレジンもエッチングもまだ沢山残っています。VALOMのこのキット、1/72の小型機だと思って甘く見ているとひどい目に合いそうです。
 
 
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続いて胴体を閉めて行きます。まずはコクピット内部を右舷胴体に接着しました。位置決めガイドは無く、どうにでも着いてしまうので十分な仮組みが必要ですが、正しい位置に着くとほぼピッタリ胴体内に収まります。接着が十分乾いたら左右胴体の接合線を消します。機首上面はサブタイプの違いに対応した別パーツになっていて、このパーツと胴体の合いが悪いと大変ですがピッタリ合ったので助かりました。

 

☆  ☆  ☆    翼の工作 と 士の字化    ☆  ☆  ☆

胴体が出来たら次は翼。このYak-7は多くのWWU単発レシプロ戦闘機がそうである様にとても常識的な形状なので、模型の工作も自然な流れです。
 
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主翼のパーツ割りは一体の下面に左右の上面を貼るごく一般的な構成。上下の合いは外周はピッタリですが、厚み方向の合いが悪くてそのままでは翼端や後縁が厚く、すき間もできます。合わない原因は上写真左に斜線で示したパーツ内側の外周が厚いためです。そこで内側外周を丹念に削り込み、満足できる状態になってからガッチリ接着しました。 
 

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このキットの主翼にはもう一つ問題があります。それは脚庫。普通に組むと上写真左になりますが、これだと脚庫底面が不連続な上、翼下面と脚庫底面の間に壁がないので翼内部が筒抜けです。そこで底面はプラ板を貼り、翼下面とのすき間はパテ埋めして壁を作りました。個人的な見解ですが、この脚庫はこのキット最大の欠点だと思います。完成後にあまり見えなくなるコクピットはレジンやエッチングパーツまで使って精巧さを追求しているのに、完成後も丸見えの脚庫に無神経なのはバランスを欠いていると言わざるを得ません。しかし、こういう不完全な部分があると個々のモデラーごとに処理の仕方が変わるので、逆に作り手の個性を発揮できる場として肯定的に捉えることも可能です。他のモデラーさんが作ったこのキットに出会ったら、私は是非脚庫を見せてもらいたいです。

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主翼の工作が済んだら胴体と合わせますが、合体前に胴体の筋彫りをなぞって増し彫りしておきました。上写真右側が十の字の状態。主翼と胴体の継ぎ目はそこそこの段差ができたので瞬着と溶きパテで埋めました。写真で白っぽく写っているのが修正後に残ったパテです。この部分の合いはこの時期のロシア/東欧系キットとしては標準的だと思います。まあポリエステルパテなどの固形パテを使わなくてもなんとかなるレベルです。
 
 
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続いてキャノピーを接着しました。このキットのコクピットは精巧にできているので、キャノピーを開状態に改造することも考えましたが、失敗したら替えが無いのでやめておきました。こう言う場合、自分でキャノピーを絞れれば制作の幅が広がるんでしょうね。
 
 
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最後に水平尾翼を取付けてめでたく士の字到達です。上写真で分かる様に水平尾翼付け根にかなりパテ盛りしてありますが、ここは胴体側の基部との間で厚み方向に大きな段差ができました。あまりにも明瞭な段差だったので、「もしかして実機にも段差があるのか?」と思って調べたところ、実機は段差なくスムーズに繋がっていたので本腰を入れてきっちり修正しました。

 

☆  ☆  ☆    小  物    ☆  ☆  ☆

士の字になったら小物を片付けるのは私が自分のスタイルとして守っている制作手順です。本体の塗装が済むと完成が見えて来ますが、そのときまだ小物が手付かずだと気持ちが萎えてしまうので、本体の塗装の前に必ず小物を仕上げる様にしています。

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まずはパーツを良く見て金属に置き換えるものを決めます。今回は主脚の引込支柱とピトー管を真鍮線に換えました。引込支柱は松葉杖の様な形ですがキットのパーツはオーバースケールで脚庫に入り切りません。実機写真も見ながら考えた結果、この部分は1/72では目立たないと割り切って、直線の棒状に単純化しました。
 
 
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上写真はその他の小物を塗り上げて並べた集合写真です。脚周りが主でそれにプロペラとアンテナ類というオーソドックスな構成。しかし何故かプロペラ中央部と主脚のタイヤがレジン製でした。サブタイプ間で異なるパーツをレジンにするのは理解できるけど、プロペラ中央部とタイヤは共通だろうから、どうしてこれらがレジン製なのか分かりません。タイヤのディティールはそれなりに細かいですが、この程度ならプラ成形でもできるレベルです。
 
 
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小物の最後は翼下に付くロケット弾です。左右各3発、合計6発。戦闘機にロケット弾を装備するのはソ連大戦機では割とポピュラーだけれど、大戦中のソ連空軍は地上軍の近接支援任務が多かったということなんでしょう。キットにはレジンのロケット弾6発と発射レール6基が入っています。しかし、私が入手した個体ではロケット弾2発と発射レール1基が欠品していました。オークションでその旨明示して安売りしていたものを承知で買ったので、初めから「無いものは自作」と覚悟を決めていたから精神的な苦痛もなく自作できました。まあこの程度のパーツなら自作可能です。
 
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☆  ☆  ☆   基 本 塗 装   ☆  ☆  ☆

小物が片付いたら本体に戻り、下地塗装を始めます。

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まずはセオリー通り、全面にサフを吹きました。使用したのは缶スプレーのMr.SURFACER1200グレータイプです。サフの乾燥後、工作のアラなどが無いか目を凝らしてじっくりと観察したところ、幸いどこにもアラは無く、一発で下地が整いました。通常はアラが出てサフ掛けを数回繰り返すのですが、これはやはりキットの素性が良く、すき間や段差が少ないことから来る効果だと思います。次に、筋彫りなどに沿ってあらかじめ影を付けておく「下地シャドー」をほどこします。このシャドー付けはエアブラシの細吹きで行なうのが一般的ですが、私のエアブラシの技能は未熟で満足なシャドー吹きができません。そこで今回は実験的に筆による太めの墨入れで代用してみました。結果は下写真左のごとくシャドー効果が物足りません。ここはやはりエアブラシの腕を上げなければ1ランク上には行けない様です。

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下面が塗り上がったところでマスキングし、上面の緑を吹き付けました。以前はマスキングの手間がイヤで上面は筆塗りしていたけれど、還暦を過ぎた今となっては大面積をムラ無く筆塗りすることが難しくなったので、素直にマスキングしてエアブラシで吹付けるやり方に変えました。

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上面の2色目もエアブラシです。以前なら2色目は確実に筆塗りしたでしょう。この作例はこの上にさらに冬季迷彩の白を塗るので、上写真の段階での筆ムラは隠蔽されます。従って上面筆塗りでも良かったんですが、今は気持ちがエアブラシに傾いています。これは遅ればせながら何とかエアブラシの腕を上げたいという気持ちの現れでしょう。


☆  ☆  ☆   仕 上 げ 塗 装 〜 完 成   ☆  ☆  ☆

続いて仕上げ塗装に入ります。この作例のポイントとなる冬季迷彩の白をエアブラシで行くか筆で行くか迷った挙句、筆にしました。理由は自分のエアブラシの技能に自信が無いのと、白が剥げ掛けた状態に仕上げるには筆の方が適していると判断したためです。下写真左、まずはエナメルの白を機体上面にベタ塗りしました。何だかとっても楽しいです。ご覧の通り酷い筆ムラですが、実機も部隊で水性塗料をハケ塗りしたそうなので似た様なものだったかも知れません。
 
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次に筆にエナメルシンナーを含ませて、今塗った白を適度に拭い取って行きます。この作業は一発で決めるのは難しいけれど、拭い過ぎた所はまた白を乗せて何度でも修正できるので気が楽です。まあ多少根気は要りますが、やってればそのうち何とかなります。下面はエナメルの黒を薄く溶いて墨入れしました。筋彫りの凹部にだけ墨を流すのではなく、ラインの周囲に少しはみ出させてぼかすとシャドー吹きに似た効果が得られます。上下面ともエナメルを定着させるため、この段階で一度目のトップコートを掛けます。 
 

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残る工程はデカール貼りと小物付け。まずデカールは十分薄くて貼った直後は良い感じに機体に密着していたのですが、糊が弱いと見えて乾くにつれ浮いて来ました。そこで半乾きの内にマークセッターを投入し再度密着させています。上写真右はデカールを貼り終わり、最終トップコートを掛けてキャノピーのマスキングを剥がしたところです。
 
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最後の小物付けは楽しい反面、ここで失敗すると今までの苦労が水の泡になるので緊張します。特にこの作例は翼下にロケット弾が付くのでいつもより作業量が多くなりました。土壇場に来てトラブル発生。プロペラ軸受け穴がずれているのか曲がっているのか、スピナと胴体がしっくり合いません。軸受け穴を大きく開け直したところプロペラを保持できずポロっと落ちます。仕方なくプロペラは胴体に接着してしまいました。こういう所がまだまだ修行が足りないと痛感しつつ、どうにかこうにか Yak-7B 完成です。

本人満足度 ★★★★



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